ノラネコの呑んで観るシネマ

多十郎殉愛記のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

多十郎殉愛記(2019年製作の映画)
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幕末の京都を舞台に、捻くれ者の長州浪人にして剣の達人、清川多十郎が愛する女のために幕府見廻組と対決する。
84歳の中島貞夫監督による「ザ・時代劇」。
リアリズム重視の今風のものではなく、多勢に無勢でも戦えて、斬っても血が出ないいわゆるチャンバラ活劇。
伝統ある時代劇の京都らしい、非常に端正に作られた映画で、画づくりはさすがのクオリティ。
尺も1時間半程度で、気楽に観られるプログラム・ピクチャーだ。
中島監督は私の学生時代の先生でもあるのだが、いまだご健在で、こんな楽しい映画を撮っちゃうのだからやっぱ凄いな。
惜しむらくは、多十郎があんなに捻くれてしまった理由がはっきりしないことで、借金だけではちょっと弱い。
あとはヒロインとの馴れ初めは描いて欲しかった。
この二点が描写されるだけで、だいぶ感情移入しやすくなるはず。
多部未華子をはじめて色っぽいと思えた作品。
恩師の作品に星は付けられないっす。
ブログ記事:
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