イワシ

多十郎殉愛記のイワシのレビュー・感想・評価

多十郎殉愛記(2019年製作の映画)
4.1
泥酔した高良健吾に多部未華子が水をぶっ掛けたあと、小汚い長屋の一室で両者は抱擁しあって布団の上に倒れこむ。女の白い足が艶めかしく暗闇の中に浮かぶも、男はぷいっと背を向け抱擁を解く。女は激高し刀を抜くが鞘から竹光が飛び出し茫然とする。この表情こそ男が再び刀を抜く理由となる。

高良健吾が白刃を紐解きそれを光にかざしたときの官能的な輝きの素晴らしさ。多部未華子の白い足の艶かしさに対応した刃の美しさを観たとき、中島貞夫の新作のタイトルが「殉愛」を冠している理由を知る。傑作!
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