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チワワちゃんのeyeのネタバレレビュー・内容・結末

チワワちゃん(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

"チワワちゃん"(2019)

『ヘルタースケルター』・『リバーズエッジ』に続く岡崎京子氏原作の映画化第3弾目。

1994年に発表された短篇集の表題作。

現代のSNSが搭載されたアップデート型のチワワちゃん。

千脇良子 20歳 看護学生 a.k.a. チワワちゃんが東京湾でバラバラ死体となって発見される物語。

チワワちゃんを殺害した『犯人探し』が目的の物語ではなくて、チワワちゃんがみんなにとって一体どういう人物だったのかが重要な部分。

氏のリバーズエッジもそうだけど、恋やセックス、夢や不安、欲望渦巻く中で突き抜けた強い青春の衝動がハッキリあって、ある一点まで上り詰めて、急降下するようなニュアンスが多い。

どこか退廃的かつ終焉の匂いがしてる。

後半に向かうにつれて人間関係の希薄さを描くために重要になってくる冒頭のパーティの爆裂シーンは正直けっこうノリがキツくて…

門脇さんの遊び慣れてなさそうな姿を見て「なんだこれ…汗」ってなった。

品のないモノやうるさいのが大っ嫌いだから「いやー、正直キツいかも…」って思いながら観てた。

海外映画なら「パーティ+タバコじゃなくて、ドラッグでブッ飛ぶだろ」とか余計な考えが浮かんじゃった…

一方で、チワワちゃんは名称通り、犬みたいに純朴で可愛くて、破茶滅茶。存在するだけで周りを明るくさせる。

その可愛さは周囲を巻き込んで、いや、可愛さがみんなの中から突き抜けていくことで、よりみんなが見てた一人一人の彼女の姿が浮き彫りになって、"よく分からない人物"っていう流れを感じさせてくれた。

主人公ミキが嫉妬してるからこそ、どんどん存在感が際立つ。

学生→大人になる過程で、「あの頃あんなことやってた!」とか「怖いものなしの馬鹿騒ぎして、あの頃を駆け抜けてたわー」っていう、現在→過去を俯瞰してみる物語でもある。

チワワちゃんがミキに「オトナとは」って質問するシーンがあったと思うけど、答えられないのは妙に納得できた。

就活姿のヨシダくんは今までのことがウソのように目が覚めた現実を突きつけて、もはや変わってしまった寂しさを感じさせる。

その場の軽いノリに対するアンチテーゼを示し、空虚さと希薄さを描いて、風が吹き抜けていったような寂しさを残す物語。
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