このレビューはネタバレを含みます
短編3本。どれも良質。
物語的にとびきり大きな仕掛けは何もないが、大きな満足が得られる作り。
●「カニーニとカニーノ」米林宏昌
水の表現が美しい。
敵の魚のリアルさ、それを捕食する鳥の巨大さ。
お母さんが他界しているように思わせておいて最後に戻ってくるのがサプライズ。
●「サムライエッグ」百瀬義行
アレルギーと戦う少年とその母親の苦労。
絵空事でなく現実社会に数多く存在する戦いが、リアリティを持って描かれている。
アレルギーが社会的に認知される前はどういう状況だったのかを考えると恐ろしい。
●「透明人間」山下明彦
誰からも認識されない切なさが泣ける。
消火器を手放し空中に浮いてしまうピンチ場面が最大の見せ場。空全体が大きな奈落という恐怖。
短い中で赤ん坊を助けて笑ってもらえるというハッピーエンドまでもっていくテンポのよさが神がかり的。
※2019の日テレの深夜放送の録画を2024.7に視聴