《生きてる!》
若松孝二監督作品も観たことがなく、主人公・吉積めぐみの存在についても知らなかった。しかし、この映画に描かれた彼らの超濃密な青春の日々が、とても愛おしい。「生きている」という感覚が、登場人物全員からあふれ出していて、それがとにかくカッコいい。青春と聞くと爽やかなイメージを抱きがちだが、彼らの青春は激動で泥臭い。それなのに、その泥臭さが心に深く沁みわたる。
物語の時代背景は1969年頃だが、街並みや通行人の描写に意図的だと思われるが現代の要素が織り交ぜられており、結果として、古臭さを感じさせないスタイリッシュな雰囲気が漂っているのも印象的だった。
何よりも素晴らしいのは、登場人物たちの全員が人間くさくて、観る者の心に強く響く。これまで見たことがありそうでなかった、新しい青春映画だったと思う。