パーコーメン

騙し絵の牙のパーコーメンのレビュー・感想・評価

騙し絵の牙(2021年製作の映画)
3.6
次期社長争いに揺れる出版社と廃刊危機の雑誌トリニティの新任編集長速水との攻防を描いた作品。
ストーリーは非常に分かりやすくありえない、でもあり得そうな奇策で見所を掻っさらう。クールに次の手、奥の手で振る舞う速水を演じる大泉洋の新たな役どころは観ていて清々しい。
タイトルにもある騙すに関してなのだが予告でも散々騙される、とか煽られたけど騙されるって感覚には全くならなかった。
むしろ相手を負かす当然の策略じゃないのかと。だとしたら割と当たり前な戦略ゲームの内容で別に気を衒ったことはしていないし、予想できそうな正当な策略。勿論面白い作品ではあるのだがこの映画の宣伝の仕方に違和感があった。別にラスト15分でどうのこうのとかではない。リリーさんKIBAあたりからクライマックスなのだから。当事者なら騙される事には気付きづらいのだろうが傍目八目と言ったところか。
やっぱり騙すというワードほどのことではなかった。
村上春樹みたいなイメージ展開も妥当な感性。オチは弱い。コーヒー叩きつけるシーンもなんか速水石井しくない、
破天荒さを期待したけど意外と静かに綺麗に終わった印象。ただ、キャスティングは素晴らしかったです。氷魚くんの立ち位置や松岡茉優さん、塚本監督の親子関係とか。鑑賞者の気持ちを昂らせる低音重視のBGMも良い。
予告は観ない方がいいです。
2時間ドラマとかならしっくりくるかも。