このレビューはネタバレを含みます
テレビ放送のほう観てたから劇場版は別にいっかぁ、とか思てたけど、なんだか絶賛の声が多いみたいなのでそれにつられて観てきました。
結論から言うと、大正解。観てよかった。
神楽のシーンから始まるんだけど、あれ？こんなシーンあった？て。そしたらご両親生前のころのお話でした。楽器の奏者とかモブにも細かい動きが施されててすてき。全体的にテレビ版ではおっこの両親の話は殆どなかったので、映画はその分感動的に仕上がってます。
事故のシーン、子ども映画にあるまじき残酷さ。直前のなにげない日常の温かさからの落差。誰もいない玄関で行ってきますを言うおっこの淋しさ。でもおっこは終盤のあの事件まで決して泣かないんだよね。強い子。
テレビ版で入れ替わり立ち替わり来訪した個性的なお客様方は、映画では厳選された数名のみ登場。
あかねくんは登場シーンの１カットめから色気ばつぐんで、描き手の趣味を感じざるを得ない…ありがとうございます←。病弱で捻くれてる美少年なんて、萌えないわけないじゃない！おっこと言い合ってる途中にもふらりと膝折って座り込んじゃうの。極めつけは泣きのシーン。「あ〜あ、あ〜ぁ…」ってため息のように繰り返してからの、頬を伝う涙。男の子の泣きだなぁ、て心底思った。こんなの、ぐっとこないわけないじゃん！
もう一人は、グローリーさん。テレビ版だと満足いく接客ができるまでに紆余曲折あったけど、こっちでは割とアッサリ仲良くなってより深い仲に。露天風呂で会話するシーンはちょっとどきどきしちゃった。大人の色香。ふたりでドライブ&ショッピングは開放的で楽しい雰囲気からの、大型トラックを引き金にした過呼吸…。ふだん明るく無邪気なおっこの拭い去れないトラウマが突如として現れて、胸が締め付けられる思い。やっぱり、おっこの安心毛布はウリ坊なんだね。だからこそ、別れの予感がいっそう悲しく迫ってくる…。ショッピングのくだりはふつーにかわいい、楽しい。おっこファッションショーももちろん可愛かったけど、いちばんはミヨちゃんのにゃんこ衣裳かな！きゃわたん！
そいで、物語最後のお客様へ。こちらはテレビ版には出てこなかった一家。だからなんの疑いもなく見てたら、あれれ？雲行きがあやしいぞ？ということでまさかの交通事故加害者だとぅ…？そうきたか…つら…。思わず客室を飛び出して柱に縋って泣くおっこが痛々しくてもう。そして、こんどのおっこにはウリ坊とミヨちゃんが見えていない。無情にも二人をすり抜けちゃうとこで二重の悲しさが。そんなおっこを慰めてくれたのが、まさかのグローリー姉さん。ほんとこの映画は姉さん大活躍で嬉しい限り。ひとしきり泣いて、でもやっぱりおっこは強い。事故で亡くなった関さん夫婦の娘ではなく、春の屋の若女将おっこだって胸張って言えるんだもん。も〜立派になって…！(嬉泣)
そして、フィナーレの神楽へ。
身を清めるマツキさんが話してくれた、お姉ちゃんのこと。ミヨちゃんが愛おしげにマツキさんのおでこに口づけたの、ほんとうになんていうかもう…。
おっこ、マツキ、ウリ坊、ミヨで舞う神楽は、ここで初めて「ああ、だからこの４人だったんだ」と妙に納得しながら見てました。生まれ変わってまた会おう、とおっこたちは約束するのだけど、それが楽しみって言うの。生まれ変わっても絶対わかるって。ほんとうに楽しそうに。
神楽を舞い終えてそのままエンディングへ。ほんとは、その後もぜひ見たかった。そこが唯一この作品の惜しいとこ。安心毛布を失ったおっこがちゃあんと大きく成長する姿を。マツキさんと今以上に素敵なバディになってる姿を。生まれ変わったウリ坊とミヨちゃんに再会する姿を。見たかったなぁあ。
こまごま、気になったこと、印象的だったことなど。
・山ちゃんが料理に舌鼓うってるとこ、落語感はんぱないね！助六だ！
・あかねくんは劇場版だとカイくん感増し増しでなお可愛い。
・おばあちゃんの幼い頃の姿、ひょろっとしてておてんばでなんだかすごく好みどんぴしゃでした。ありゃウリ坊も惚れるわ。
・鈴鬼くんはテレビ版よりずいぶん達観した感強いね？そういうポジションなのか。
・ミヨちゃんはテレビ版よりずいぶん幼いね？７歳より小さく見えた。ぷにぷにもちもち、かわいい。
・予告で使われてたウリ坊が天高く昇って涙浮かべてるとこ、わたしてっきり別れのシーンだと思ってたのに！全然ちがった！これ確信犯だよねぜったい！ひどい！
・おっこにアドバイスして帰したあと右耳を触ってるマツキさん、ふふって嬉しくなりました。
温泉街の雰囲気とか懐かしさを漂わせながらも美しくて。
キャラクターはテレビ版よりいっそう魅力的に描いてて。
テレビ版だけで満足しなくてよかった。楽しい時間をありがとうございました😊
