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軽い男じゃないのよのAのネタバレレビュー・内容・結末

軽い男じゃないのよ(2018年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

もっと軽い口当たりのコメディだと思って観てみたら思いのほか性差別への風刺が強めだった。

男性像と女性像が極端に色付けされて、それをそのまま逆転されてるので「もし本当に女性優位な世界になってもこうはならないでしょ」という違和感が強い。
でもこれには実際に女性が受けてきた不当な扱いやハラスメントがそのまま主人公に降りかかることで「思い知らせる」意図があったんだろうなあとも読み取れる。

主人公が幼い頃に白雪姫に扮した姿を好きな女の子から嘲笑された描写を見るに、主人公が男らしさ女らしさに囚われて差別とも取れるような線引きをするようになってしまった経緯にも「女性から受けた差別」の傷がある。
主人公がこの世界での自分を「被害者になった」その前は「加害者だった」と言い、「その他に世界はないの?」と返される。この問いかけがこの作品の中で唯一納得できたメッセージに思える。
主人公は幼い頃に被害者になり、大人になって加害者になり、別世界でまた被害者になる。
いつも加害者と被害者が入れ替わるだけ。
自分にも他人にも優しくない二言論の世界。

ラストで別世界で男を食い物にしてきたアレクサンドラが主人公の元いた世界に来たのも、主人公と同じく自分が加害者であったことを「思い知らせる」ためなのかなと思った。
結局二人の間の問題も解決されないままで、残念ながら最後まで「(加害者も被害者もいない)その他の世界」は見出だせない。
その解決に至らない部分も含めて問題提起としてるならもっとリアリティが欲しいし、コメディとしては笑い飛ばせないので、中途半端だった。
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