ねぎおSTOPWAR

マリオネット 私が殺された日のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

4.0
この映画を語るのは、なんとも難しいなあ・・。
わしが難しく感じる理由を考えてみた。
それはおそらく描かれる事件の醜悪さと、映画の構成の巧みさのギャップ。
自分の中で相反する気持ちが同時に発生するから、なんとも言い難くなった。

いわゆる”胸糞”な事態は事実ベースということでさらに厳しく観客をグーっと引き寄せ客観性を失わせようとします。
一方で客観的に見れば、それ自体は”爽快さ”すら感じるレベルの脚本、構成。

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この映画はレイプを扱うので嫌な人は絶対観ないほうが良いと思います。
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主演のイ・ユヨンさんは「アトリエの春、昼下がりの裸婦」で国内新人女優賞を総なめにし、ミラノ国際映画祭ではいきなり最優秀主演女優賞をもらった方。韓国芸術総合学校で演劇を学んだ33歳・・映画公開時は28歳(2023.6月現在)。良き女優さん。
関係する元刑事はキム・ヒウォンさん!!安定のバイプレイヤー!!
刑事時代の後輩にコ・ギュピルさん!!この方いいアクセントなんだよなあ。
そして高校生ミナ役はキム・ダミ!!

これ以上書こうとするとネタバレの壁!w
あとは観た方のみどうぞ。









高校生のミナ(キム・ダミ)が男に騙され暴行される描写と、並行して描かれる女教師ソリン(イ・ユヨン)が結婚を間近にして生徒たちからお祝いされる描写。・・通常「この二人は学校で繋がっているのだろうか」とストレートに思うわけで、スタッフ側もそう見えるように編集しています。そして次にもうひとつの共通点《眠らされている間に暴行を受け、その映像を公開される》が浮かび上がる。徐々に同一人物だと気づきはじめ・・
当時の事件の担当刑事で今はPC-VANのオーナーとなってるグクチョル(キム・ヒウォン)が色々と解き明かすKEYとして登場。👈これうまいわなあ。
誰しもが気になっていた過去の事件がどうなったのかや母が知る経緯など・・これはグクチョルの回想として観客に知らされます。
またちょっとマニアックな考えですが・・ミナとソリンは自分の力では逃げることも出来ない存在なので、テコンドー〇段とかそういった設定じゃーないわけで。すると悪人をどう捕まえるかがネック。じゃあグクチョルが捕まえる?・・でも彼が警察を辞めてなかったらミナ&ソリンが警察に不信感を持っているところと整合性が取れないから辞めた設定。すると警察の出動が直結するために<ほぼ信頼して思い通り動く後輩>の存在が必要。ゆえにグクチョル(キム・ヒウォン)と後輩(コ・ギュピル)の間に、《通常入って来がちな後輩の上司の妨害やその他よくあるバリア》は存在しなかったですよね。・・・つまり終盤の締め方はいわゆる映画っぽい、”上手な”シナリオだなあと。

畳みかけの、最後の10分20分は、既に胸糞な感情は無くなっていましたね。「羊たちの沈黙」の終盤を観ている感覚でした。

いったいどこからどこまでが事実に即したものなのでしょうね。
子供が犯人だったというのは「踊る大捜査線」を想起させましたが・・


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