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ジュディ 虹の彼方にのpriskyのレビュー・感想・評価

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)
4.0
ジュディの分厚い自伝を読み、普段から折に触れ過去のライブ動画をネットで観て、奮い立ってみたり打ちのめされたりして、勝手に彼女を神聖視しているわたしですが、、、納得の作品でした。

彼女のキャラクター、エンターテイナーとしての才能、そして苦悩などなどはじゅうぶんに理解している(つもりな)ので、ジュディ ・ガーランドに対する気持ちは鑑賞後も変わらず。うんうん、そうだよね、ジュディならそう言ったろうね、あぁいや素晴らしい、という若干ウザい鑑賞態度だったと思う。つまり、レネー・ゼルウィガーを案内役に、ジュディの晩年を確認するという感じだった。

タクシーのなかの寂しげな横顔、パーティで所在なげに立つ頼りない後ろ姿、、、、歩いたり止まったり、誰かと会話したり、レネーのそんな仕草が、YouTubeで何度も観たジュディと重なり、そうそうってなった。なにより作中での「By Myself」は、ボロボロの心を脆く包んだガリガリの身体で、まさに命を削りながら歌っていたジュディを彷彿とさせ、泣きそうになった。、、、だが泣いてない。何度も泣きそうになったが涙は落ちなかった。しかし、涙の有無はおいといて、ほんとうに素晴らしいステージだった。

あと、個人的にはロザリンのファッションがツボすぎて、ずーっと注目していた。最初の公演のときのラメっぽいオールインワンみたいなやつ、ほしい。あとロンドンのホテルのインテリアもめちゃ好みだった。

「オズの魔法使い」に出てくる「どれだけ愛したかじゃなくて、どれだけ愛されたかが重要だ」みたいな言葉。たしかにジュディはきっと全世界から愛されたひとだ。ステージと客席とで結ばれた愛は無数だった。でも、彼女が愛した相手とは長く一緒にはいられなかった。その矛盾が、とても悲しい。
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