Nori

ジュディ 虹の彼方にのNoriのレビュー・感想・評価

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)
4.0
ジュディ・ガーランド、「誰だそれ?」状態で鑑賞。

オズの魔法使い(映画)に17歳で抜擢されデビューしたスターのその後。年齢を重ね40代半ば、私生活が上手くいかない中、ロンドンのステージに彼女が立つ。その様子にスポットを当てて作品は構成されている。

私は俳優の名前を覚えるのが不得手で、この作品のレネー・ゼルヴィガーという人物が、ブリジット・ジョーンズを演じた人物と同じとは全く気づかなかった。
役作りとしてなのか、メイクアップアーティストの腕なのか、はたまた本当に年老いたからなのか、人生下り坂感の滲み出たジュディとして、彼女はスクリーンに存在していた。そのたたずまい、美しく創造された背中(背筋)が物語るもの、そして、歌声。アカデミー受賞も納得できるな、と思う。

スターとして歩む前、ジュディには別の選択肢も用意されていた。それは、女優ではなく市井の人として生きること。
人生は選択の連続であり、その選択が正しいのか否かは、誰にも分からない。一方を選択したら、枝分かれしていた他方の道はかき消され、また次の岐路に向かい歩んでいく。
過去は変えられず、未来もどうなるか分からない。ジュディもこの公演の半年後に亡くなるとは思っていなかっただろうし、我々も2020年元旦には、今夏はオリンピックだな、位に思っていたはずだ。
変えられない過去に縛られず、分からない未来を憂えず、今このトキを懸命に、誠実に生きていきたいものだな。作品を観てそう感じた。


鑑賞後に、ジュディ・ガーランドについて調べてみた。
早くから薬中だったこと、それ故にか現場で数々のトラブルを起こしていたこと、自殺未遂を繰り返していたこと、歌声は抜群でグラミー賞を晩年に受賞していること、極度の浪費家で、稼いでもすぐに使ってしまっていたこと。
そういう背景があると知っていると、彼女の背中が語っていたモノをより感じられるのかもしれない。
また、LGBTQのレインボーフラッグが彼女に由来するものだ、ということも初めて知った。


色々積み重ねた歴史が今の自分を形創っていて。その自分をまずは自分が愛せるとよいな。そう感じる作品だった。
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