Yuto

幸福なラザロのYutoのレビュー・感想・評価

幸福なラザロ(2018年製作の映画)
2.9
幸福なラザロってどうゆうつもりでこのタイトルつけたんだろう。きっとこのタイトルの受け取り方で各々の正義感や幸福感を丸裸にしたかったのかな、、、。アイロニーとも、真実とも受け取れる。僕は真実だと思うかな、どちらかと言えば。

無欲で人の言うがままに生きてるラザロにとってはタンクレディとの繋がりを感じているあの一つ一つの瞬間が間違いなく幸福であって、その彼の存在は絶対だったのであろう。
僕にはラザロはまったく幸せそうに見えなかったけど、彼が幸せを実感している瞬間は分かったなあ。そう思うと結局幸福感って揺るぎ用のない主観からなるもので、僕らがラザロを幸せか否かという議論はもはや空虚なものなのかもしれない。
ただ、それでもやっぱり、無知で、視野や世界が狭いことは、不幸せだなと思ってしまう。無欲であることは正義では無いと思う、ラザロの意思はどこにあったのだろう、彼は何者でいたかったのだろう。
現代社会では、人権や自由を守るということが絶対善で、それを侵害するものが絶対悪とされる社会。キリスト教の文化圏ではそれがより顕著なのであろう。それが個人的善意からきたものであったとしても、その判断基準で悪とされたものは叩き潰していい、赦しがあるからといったとこなのかな。そして、やっぱり多数の幸福を優先するのが社会の現状だよね、それはあの村でも現代の街でも同じ。

狼って何のメタファーだったんだろう。死かな。死だと思ったんだけど。作中の詩に出てくることと照らし合わせると、弱っていたり死ぬ直前に人は真の聖人を感じ取れるっていいたいのかな。うーん、分かりまてん。
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