80年代にイタリアで起きた実話をヒントにした現代の寓話。
人里離れた村で、小作制度の廃止を知らされず、タダ働きさせられた村人たち。警察により見つかり、彼らは街へと出ていくのだった。ラザロ以外は…
ラザロはいつだってよく働き、誰かのために犠牲となり、自分の意見を述べたこともなく、何か言っても誰もラザロの言葉には耳を傾けない。存在さえもないかのように扱われる。
伯爵夫人の息子タンクレディだけがラザロの言葉を聞いてくれた。そんなタンクレディを思うラザロの素直さがピュア。
寓話色を強めるラザロ役の風貌と1匹の狼。時間や時代を超越する表現がうまかった。
貧民はどこにいても貧しさからは脱却できないことが切ない。搾取されていても農家で働いていた頃の方が彼らは幸せに見えました。
聖書のラザロと重ね、現代における聖人のイメージとして今作のラザロを描きたかったのかと思う。いつの時代かわからないよう描かれた村での映像が美しかった。