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幸福なラザロのヒメのネタバレレビュー・内容・結末

幸福なラザロ(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

イタリアの小さな村。
村人達は、領主の隠蔽によって小作制度の廃止を知らされず、社会からも隔絶されたまま、ただ働きをさせられている。見渡してみると若者は少ない。その中に、物語の主人公、青年ラザロがいた。
「ラザロー、ラザロー」ラザロは村人達に始終名前を呼ばれ、用事を言いつけられている。純朴そうで、真っ直ぐの大きな瞳が印象的なラザロは、それを素直に応じ、真面目に働いている。ある日ラザロは領主の息子と出逢う。そして物語は意外な展開へ。

流れに身を任せる。
ラザロを見ていてその言葉を思い出した。
物心付いた頃から何でも自分で決断してきた私が、ある大きな出来事をきっかけに、当時好きだった言葉です。
ラザロは、自分の欲求がない。言われた事をやり、動き、それが他人の為になっているという意識も無く、流れるように周りも動いて行って、また自然にその流れに沿う。つまらないように見えるかもしれないけど、これは幸福な事なんだと思う。
ただ、後半の展開は、どう捉えて良いのか、見方は人それぞれなのかもしれない。
私はラザロはあの時死んでしまって、
狼になったんだと思う。
あの光が、ただの光ではなく特別なものに見えたから。
狼は"善人の匂いがわかる"から、ラザロを生き返らせて、村の人やタンクレディに再会させてあげたのではないか。
ラザロの涙は、自分は死んでしまったと悟った涙だったんじゃないかな。
狼は、どこへ向かったんだろう。
あの村に帰ったのか。
走る狼の顔が、とても印象に残った。
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