このレビューはネタバレを含みます
【God Bless Colorful America!】
かねてから思うのは「白」も色のひとつだろうということ。色鉛筆の箱に必ず入っているだろ、と。白の紙面では、活躍する出番が極めて少なく、存在感もないけれど。
話としてはずーっと短くできると思いますが、政治批判や、Black cultureをパワフルに誇り高く描くこともテーマのようでした。
Jesse Washingtonリンチ事件の目撃者の語りと、KKKの儀式を密かに見つめるRonの潜入とを並行して進めたり、後半から終盤にかけてもろに米国の現状と繋げてくる所は、流石の手腕でした。
1915年公開の “The Birth of a Nation” (originally called “The Clansman”) という映画がKKK復活のきっかけとは知りませんでした (廃れていたとは知らなかった)。これまでがそうであったように、映画の持つ影響力が強いことを認識した上で本作も製作されているということです。
実際は”Ron Stallworth”を複数人が演じたとのこと。映画のようなユダヤ人捜査官は居らず、しつこく疑われることも、彼女に覆面捜査をバラすことも、爆弾事件もありませんでした。Ron本人によるDavid Dukeの警護と記念写真は本当。
映画の中で捜査中止となる顛末が微妙で何だかなぁと思いました。実際はRonが代表を引き継ぐ話が出た時点でヤバイとなり幕引きとなったそうです。あくまで「調査」ということで、目立った成果としては、軍の複数の高官がメンバーだと判明し、結果的に左遷されたことのようです。
人種差別だけでなく、性差別や職業差別も遠回しに描かれていました。
黒人(や他の被差別人種)の中には東洋人こそ自分達よりもっと低劣だとして当てつけのように差別する人もいます。周囲を貶めることなく自分の立ち位置と価値を保つことが当たり前となる世界はまだまだ先でしょうか。
この映画を観て「昔は差別があったんだねぇ〜」なんて言えるような時代がいつか来ると良いですね。
(以前住んでいた所からハイウェイを飛ばして少し行くとKKKで有名な地域がありました。既に荒廃していましたが…。)