【ちょっと目薬っぽい涙】
いい話で、切実な事件だとは思うけど、作り手がちょっと酔っていて、も少し素面で撮ってよ、と思った。
物語の規模としては、一つの戦争中、一つの作戦を切り取った、TVシリーズ一挿話のよう。
個人的に、クルド人街でのISとの市街戦を描いたドキュメンタリー『ラジオ・コパニ』をみていたので比べてしまい、作為やゆとりを感じてしまった。
本作の女性ジャーナリストと同じ視点から、至近距離で本物の市街戦を撮影した映像、本物の女性兵士、本物の死体、を強烈に刷り込まれていたので、本作はなんかおセンチだなあと。まあ、娯楽映画としてチューニングしたらこんな感じか。噛み応えありませんでしたが。
これだけ過去を引きずって、戦時の毎日、それに囚われている女隊長って、自分が部下だったら不安だな。
で、彼女となら勝てる、と部下が言うけど、優れた長とわかるエピソードがない。敵基地攻撃に拘るのに訳があることも後でわかるしね。女優さんのオーラ頼みになっている。
一方、部下の兵たちも、思わず共感してしまうような人物が出て来ない。それぞれ違った過去を背負っているのだから、紹介だけでもいいから触れて欲しかった。部下、十把一絡げだよね。
戦士となる前、弱者としての女性逃亡劇の方が、物語として惹き込まれる。でも“陣痛ボーダー越え”はやり過ぎじゃね?そもそも、使えなくなった性奴隷を何故囲っていたの?世話係としても扱いづらいから、人でなしISだったら、とっとと処分するんじゃないだろうか。
メリー・コルヴィンがモデルと思われるジャーナリストは、語り部として効いていたような気もするし、居なくても成立した気もする。物語の人物としては、なんか半端な立ち位置だった。
彼女が最後に語るモノローグが、本作の主張なのだろうが、フィクションが現実に負けていると思いました。
<2019.2.3記>