ドッグマンの作品情報・感想・評価

「ドッグマン」に投稿された感想・評価

Nerimarks

Nerimarksの感想・評価

4.5
今年一番の、「タイトルからなんとなく想像するストーリーとのギャップ差が激しい作品」に輝いた。

ポスタービジュアルを見て、イタリア版の”動物のお医者さん”(佐々木倫子)的な感じなのかな!ハスキーじゃなくて、ダルメシアン?このワンちゃんと主人公が織りなすほんわかストーリーなのかなー。

と、思っていた。割と本気で。ハンケチも用意した。

なんだか「北斗の」とかつく作品みたいな、荒廃した煤けたスラム街で、マルチェロ(主人公)が、いけない白い粉を売っている。おかしいぞ、どっかの映画紹介に”心優しい男”とかいう文字が躍っていた気がする。心優しい男は粉売らないだろう。

そして登場する、ジャイアニズムなメーターがダメなほうに振り切れてる、ミルコ・クロコップのようなヒャッハーなオトモダチ。やっぱりこういうとこに似合うのはこういう男だな、と思いつつ。さすがに肩にトゲトゲのアレはついていなかった。

そうか、ダルメシアンってクロアチアだったから!(ミルコとの関連を無理やりひねり出す)

この二人の、まるで犬と飼い主のような主従関係が織りなす、まったく複雑でもなんでもない人間模様が描かれる作品だった。犬だと思っていた男が、飼い主に一矢報いる様は…あんまり痛快ではないけど(笑)
そして、たぶんこの街の名前は、カサンドラだ。しらんけど。

「犬関係はだめだよー泣いちゃうから!」犬モノだと思って、こういうことを言う人たまにいます。あ、僕なんだけど。
まったく大丈夫だから、ぜひ観てね!ジャンルは、バイオレンスだ!
2019/5/6 機内
小さなコミュニティの中での暴力的な厄介者との向き合い方。海辺の寂れた街が美しくも冷たくも見える。犬や娘と過ごす幸せな時間、仲間との楽しいサッカー、厄介者に巻き込まれ、選択を迫られ、辛酸を舐め、と翻弄される主人公。丁寧な人物描写は、カンヌ等主演男優賞多数受賞も納得。
misuzu

misuzuの感想・評価

3.7
イタリア映画祭2019にて。

日常の延長線上にある狂気と暴力。
しんどい映画だけれど心に残る。
重く暗い映像も見応えあり。

060 / 2019年
上旬

上旬の感想・評価

4.5
ひたすらに辛かった。彼は誰かの「仲間」でありたかっただけなのに。

主人公の息遣いが聞こえるくらい近いカメラワークは『サウルの息子』を思い出した。

なんで?という行動をとる主人公は最初は全然共感できなかったが、物語が進むにつれ可哀想になってきた。なるほど。娘を守りたかったんだと分かったときは涙が止まらなかった。最後の余韻が凄まじい。

貧困を描いた作品は数あれど、これほどリアルに、残酷に描写した作品はなかった。
Rin

Rinの感想・評価

3.0
温厚で小心者のマルチェロ(ヤク中)

イタリア映画祭2019

このレビューはネタバレを含みます

イタリア映画祭2019で視聴

つまんねぇ!!!


イタリア映画初挑戦なのだが意味深な長回しと主人公の顔に寄ったカットが多い割に、何を伝えたいのかよくわからなかった。

というかこれ、何映画なんだ?復讐モノにしてもあまりにも中途半端だぞ?
まず主人公に全く感情移入ができなかった。
『心の弱さ』に共感しようとしても度が過ぎて愚かだと不愉快にしかならなかった。
正直奴の行動によって迷惑を被った町の人々にこそ同情してしまった。
中盤シモーネにしばかれるのも身から出た錆としか思わなかったしこの退屈な映画を早く終わらせてくれとすら思った。

そして後半、支配関係が逆転するシークエンス。おおお!キタキタ!となったらあっさりシモーネ殺害。ええぇ・・・・。
上映後に隣のイタリア人の方に聞いたらこの話は実話で、本当だったらゆっくり指を切断して拷問してから殺したとか。
いや、それをこそしっかり描けよ!!!
そこを見てこそ溜飲が下がるってもんだろ?なんで日和った?

絵作りとかロケーションは良かったぶん残念。止め絵だとかっこいいのに動くと何故こうも鈍重なんだ。

格調高い感じなのか、スプラッタなのか、どちらにも触れない中途半端な作品でした。
i

iの感想・評価

2.5
ポスターのデカいワンコにひかれ鑑賞。主役がうまくて凄くイライラさせられた。長すぎる間のとりかたも苦痛で良さがわからなかった。途中退場者もいた、、

イタリア映画祭2019
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

3.0
【Il tuo è per me, ma il mio è solo per me.(おまえのものはおれのもの、おれのものはおれのもの)】
人生初のイタリア映画祭に行ってきました。目当ては昨年のカンヌ国際映画祭で男優賞とパルムドッグを受賞した『ドッグマン』。

『ゴモラ』、『リアリティー』で有名なマッテオ・ガローネがトリマーを主役にしたギャング映画を作ったということ、「どういうこと?」と思ったのですが、このトリマーという設定が肝のユニークな作品でした。

舞台はイタリアの寂れた田舎町。《ドッグマン》という犬のトリミングサロンを営むマルチェロの前に、ジャイアンのような怪力男シモーネが現れる。シモーネは町の嫌われ者だが、「おまえのものはおれのもの、おれのものはおれのもの」とジャイアニズムを発揮し誰も逆らえない。マルチェロは、ドラッグを持っていることから目をつけられ、対価も支払わずにマルチェロを搾取し続ける。そしてある事件が、マルチェロの友人関係や愛する娘を奪ってしまう。

この映画は、怪力男という圧倒的に強い男を手なづける話です。冒頭、狂犬を辛抱強く手なづけてトリミングするように、マルチェロが怪力男を手なづけることで復讐する。トリマーとしての辛抱強さを象徴として使っている面白い語り口で物語が進みます。

だから、町の人は誰も助けてくれないし、マルチェロは警察なんか呼ばない。シンプルな一騎打ちに絞りガローネはじっくりと復讐を描く。映画をある程度観ている人には物足りなさを感じてしまうかもしれませんが、マルチェロ役のマルチェロ・フォンテの迫真の演技は見ものです。

日本公開は8/23(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、kino cinéma 横浜みなとみらい他にて。

このレビューはネタバレを含みます

イタリア映画祭2019にて。

寂れた海辺の町で犬のトリミングサロンを経営するマルチェロは、娘と犬をこよなく愛する温和な男。
町の人との関係も良く、慎ましくも幸せな生活を送っていた。
唯一の悩みは暴力的な友人シモーネからの麻薬の横流しや強盗への無理矢理な加担などの支配的な関係だけ。。。

平凡な日常に潜む人生のエアポケット。
マルチェロ本人ですら入ってしまった事に気づかず、シモーネの支配からの脱却を目指しながら、いつのまにかそんな自分の置かれている「状況」に支配されていく怖さを描いた不条理劇。

同情へとミスリードする演出と薄皮一枚で展開していく奇妙でサイコな心模様。寂寥のスクリーンに力強く鋭利に、そして巧みに人間の業が刻まれる。

魔がさしたのか?
悲願だったのか?
ラストの長回しが捉えるマルチェロの表情には人間らしい感情の欠片も見て取れず、自身が肥大させ続けた内なる獣性に呑み込まれた哀れな男の虚ろな目が印象的。

誰にでも優しい彼の根底に渦巻いていた感情は何だったのか?
自分の世界から突き放された彼同様に、私の思考もいつまでも虚空を彷徨うだろう。

マルチェロを演じるマルチェロ・フォンテの怪演に尽き、それはシモーネ以上のとびきりの悪役にすら写るから不思議である。
カンヌでも主演男優賞も納得。
kyoko

kyokoの感想・評価

3.9
いきなり歯をむき出して吠えまくる犬の顔面にびびった。
この子絶対シャンプー無理でしょと思ってたのに、いつのまにか至福の表情でドライヤーの風受けてる。
「DOGMAN」という店で繰り広げられるこの一連の流れでがっつり掴まれた。

犬と娘と町の住民をこよなく愛する心優しいマルチェロ。愛犬ジャックと仲良くパスタを分け合い、離れて暮らす娘とはトリミングを教えたりダイビングをしたり。町のみんなと仕事後にサッカーを楽しむ普通の男の生活が町の乱暴者・シモーネによって狂わされていく。

前半はとにかく胸糞。シモーネはもちろん、言いなりになるマルチェロにも苛立ちが募った。それでも犬への愛情は1ミリも揺るがないマルチェロを突き放すことはできない。
後半は多少粗っぽくていいからマルチェロ、男を見せてくれ!と願い、終盤に垣間見えた狂気に胸を踊らせたけれど、マルチェロの目的が分かった瞬間思わず口が開いてしまった。

最後にマルチェロの心に去来したものはなんだったんだろう。
長回しのその顔からは私には何ひとつ読み取れなかった。
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