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アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノールのKUBOのレビュー・感想・評価

3.6
10月9本目の試写会は『アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール』。

私はオペラとかほとんど見ないので「アンドレア・ボチェッリって名前は知ってる」くらいの浅〜い認識で鑑賞。

何よりびっくりしたのは、30を過ぎてから本格的なレッスンを始め、大きな舞台を踏んだのは30半ばという遅咲きなこと。

普通、クラシックと言えば、幼少の頃から英才教育を始めて、とか『蜜蜂と遠雷』的に年齢制限有りみたいに思ってたから、人生30過ぎてからこんなに花が咲くって、今くすぶってる20代の人たちが見たら勇気がわくかも。

生まれつき先天性緑内障でほとんど目が見えなかったアモス。お父さんとお母さんも悪い人じゃないけど「普通の人」にさせようとしてアモスは反発する。

そんなアモスを救ったのが音楽好きなジョバンニおじさん。おじさんが連れて行ってくれた地方のコンテストで優勝し、アモスが「歌」に目覚める。

ところが、とんとん拍子にスター街道まっしぐらではなく、ここからまた、障害〜下積み〜挫折、と続くところが『ボヘミアン・ラプソディ』や『ロケットマン』のような最近流行の音楽映画とは違うところだし、実話の重みでもある。

主演は、見終わってデータ見るまで気がつかなかったんだけど、大好きな『ゲーム・オブ・スローンズ』でミアセラの婚約者、トリスタン・マーテルを演じていたトビー・セバスチャン。

歌はご本人のアンドレア・ボチェッリが歌っていて、オペラをよく知らない私でも知っている「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」をはじめ「アヴェ・マリア」「誰も寝てはならぬ」などの名曲の数々は圧巻!

アモスの故郷であるトスカーナ地方の自然も美しく、最近の忙しい音楽映画とは一線を画するアート作品にもなっている。

オペラ好きは必見だろうし、私のような門外漢でも十分楽しめた。人生いつからでも遅くはないと、きっと多くの若者を励ましてくれる作品だ。
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