わっしょい

アラジンのわっしょいのレビュー・感想・評価

アラジン(2019年製作の映画)
3.7
価値観アップデート版のアラジン。

どうしてもアニメ版との違いという目線で観てしまう。

ジャスミンの価値観周りがかなり大きく違っていて、現代っぽいなと思った。
真実の愛というふわっとしたものを求めていたアニメ版に対して、実写版では自分が王になりたいという確固たる意志を持っている。
キャラとして意志が強いのは共通しているけれど、目指すものが大きく違う。
女の子の夢といったら良い人との結婚でしょ?みたいなアニメ版と、男だけが務めてきたトップの立ち位置に初めて女としてなろうとするという実写版。
映画が作られた時代の価値観が如実に表れていて面白かった。

あとは全体的に雰囲気が比較的リアルでシリアスだった。
アニメと実写の違いがあるので当然だけれど、国王にちゃんと威厳があったり、動物たち(特にオウム)が動物の域を大きく出るほどの知性を描かれていなかったりと、意図的にリアルっぽく表現されていたと思う。
特にオウムが復唱する程度で喋りまくったりせず、あくまで鳥として描かれている所が、その辺りのリアルっぽさを保っている気がする。

個人的に好きなシーンは、魔法使いになったジャファーがオウムを巨大化させて、ランプを持った主人公たちを追わせるシーン。
アニメ版には無いオリジナルのシーンだけど、キャラクターの個性が活かされていてとても良い。
オウムは喋ったりせずに単なるモンスターとして描かれるのも、アニメ版とは違うキャラクター性だからだと思うし、だからこそ緊迫感もある。
空を飛ぶモンスター相手に、空飛ぶ絨毯で対抗し、いざとなったらアラジンとアブーのコンビが街中で連携しながら上手く躱す。
そもそも突然怪物を登場させられるのも、ジャファーが魔法使いという設定あってこそ。
素材の味を活かしてちゃんと新たなシーンが作りあげられていて、とても良かった。

ミュージカル映画としても勿論良かった。
実写だと、場面毎のキャラクターの喜怒哀楽が歌や動きに乗って伝わってきやすい。
落ち込んだり決意をした時のミュージカルシーンも良いけど、やっぱり楽しいミュージカルシーンは凄い良い。
「Friend Like Me」が相変わらず曲としては一番好きだけど、「Prince Ali」のスケールの大きさが凄くて楽しかった。
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