三樹夫

七つの会議の三樹夫のレビュー・感想・評価

七つの会議(2018年製作の映画)
3.1
半沢の電機メーカー版。出ている役者も堺雅人outの野村萬斎inで、半沢と同じ役者が多数出ており小木曽の人まで出ている。事実上の半沢が劇場版になったということで、嫌な上司を論破して怒鳴り散らしてやったわもあるが、不正や企業に滅私奉公する意味など扱うテーマが多少大きくなりなんか真面目になっている。

何それという野村萬斎の面白演技や香川照之の相変わらずの面白演技もあるが、面白演技の割合は半沢より少なくなっており、ということはストーリーテリングの面白さや演出、ツイストなどの正攻法で勝負するわけだがテレビドラマの範疇を出ないという感じ。映像はドラマで使っているカメラより映画用のいいカメラを使っているというのは感じる。「まるで、犬だな」「どっちが罪が重いんだろうなぁ~(プルップルプルプルプル)」みたいな面白演技とパンチラインの効いたやり取りがもっと全体的に散りばめられていればよかったのに。
八角周りで不可解なことが起きている、ドーナツ泥棒は誰というフックで引っ張るが、ドーナツ泥棒並びにVS経理部はショボい。メインのストーリーでは、実はあの時こうでしたが二つとも後出しジャンケンくさいし、こいつと見せかけてこいつでしたの連発も観ててへえ~となんか芯に響いてこない。八角の自殺した顧客トラウマはいるのかこれ。さらにもう一個過去のトラウマが出てくることで不要感がある。

おじさん二人がドーナツ食べながら俺たちが今までやって来たこと何だったんだろうなというのは、ベタながらも良かったのではないか。下手すれば人も死に追いやりかねんぐらいでノルマを追いかけるが、そこまでノルマって重要なものかというのとリンクしてやっていることの意味への疑問が際立つシーンだったと思う。また仕事していて誰しも何やってるんだろうと思うことがあるので、そんな経験ともリンクするシーンであると思う。このシーンは台詞少なくてもいいのにと、多弁気味なのが気にはなるけど。

クリアが困難なノルマ設定して未達だと死ぬほど詰めるという、効率と生産性の低い会社だな。大名行列とか御前会議とか、この会社本当にバカ会社なんだなと伝わる。電機メーカーな上にこれだと、やらかしとか何もしてなくてもその内勝手に落っこちていくだろうという将来性を感じない会社だ。あんな会社、転職で引く手数多の有能な奴ほど辞めていくんじゃね。
この映画の不正に対する考察について、日本の会社における不正はなくならないが悪いことは悪いと言い続けるしかないというのは間違ってはいないとは思うが、根本として日本人の会社員がアイデンティティを確立できず会社を自己同一化してるっていうのが問題なのでは思う。外国人は同じ状況に直面したらとっとと転職するんでしょ。会社に自己同一化せず会社と自分個人とを分けている外国はちゃんと経済成長してるんだし、会社に自己同一化すんな個人を確立しろ権威主義的パーソナリティになるなっていう話なのでは。
私の経験上、会社の金を自分のポケットマネーみたいに錯覚してる奴は大体ヤバい。やたら経費削減って言って突っかかてくるような奴。会社と自分とを同一化してるので経費使われるのがさも地腹を切ってるような錯覚に陥っているか、何かに理由つけてマウント取りたい奴のどっちか。経理部でもないし、役職上経費削減で詰められるわけでもないのに自主的に経費削減警察をやってる奴はどこの会社にでもいると思う。経理部であってもこの映画の藤森みたいに経費削減をマウント棒にしてる奴も当然だが大体ヤバい。
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