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タロウのバカのninniのネタバレレビュー・内容・結末

タロウのバカ(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

不快感がすごかったのはわたしがどんどんクソみたいな大人になってって、クソみたいに不感症になっていた証拠だ。
気持ち悪いことに気持ち悪い、
うるさいことにうるさい、
悲しいことに悲しい、
叫びたいことに叫ぶ、
好きだと言うことに好きだと言う。
嘘つきだらけのこの世界に生きるために嘘つきになる。
嘘をつかないことは生きにくくなる、
けど、それで自分の本当までも染まったら私はいなくなる。
現代への警鐘のよう。
タロウをバカだと言うやつはバカだ。
私はバカだと思う、タロウのこと。
だから私もバカだ。
でも軽蔑はしない、できない。
羨ましい。100%じゃないけどさ。

スギオの最後、
死ぬんだって分かってた。
誰しもが分かってた。
しばらくはあの笑顔、忘れられない。
でも、死ぬことを選んだようにも見えなくて。ピストル突きつけてみたよ、的にも見えたんだ。それはなぜ。打つ瞬間はとても軽く引き金を引いたように見えた。あっという間。あ、まだだ、まだ、あ、下ろした、え、どうなるの、スギオ、あ、またあ、みたいな。その時はなんも思ってなかったけど、何度もリピート出来てしまう。それほどに私は見つめていた、彼を。

配役完璧すぎてお手上げ。
YOSHIさん、菅田将暉さん、仲野太賀さん。素晴らしいです。テンポとかどーでもよい。この方達の見つめ方だけで十分持つ。それってすごいこと。

だからこそのほかの人達との差がきつい場面多々。柔道場に乗り込んでいくシーン、乱闘早すぎて支持されてた感にわらけた。
あと、吉岡さん?役の方、なんか違和感がずっとでした。言葉が薄っぺらく思えた。なぜ。何故だろう。特に冒頭。まず聞き取れないことには何も分からなかった。言葉なんて必要ないほどの体から放たれるものを受け取るまでに時間が必要だった。
だからこそ、はじめのシーンをもう一度見たい。

人間が人間らしく生きるってなんでしょうか。
無視するな、全て生きてんだ。
終わった後、外の世界に耳を澄ましてしまう作品でした。
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