にゃん

ソローキンの見た桜のにゃんのネタバレレビュー・内容・結末

ソローキンの見た桜(2018年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

日露戦争で捕虜となったロシア軍でそのまま祖国の地を踏まずに日本で亡くなった人が99名。しかし、祀られている墓の数は98。この違和感から始まった取材でストーリーは始まる。
存在しない墓はソローキンのもの。ソローキンの残した書物に「サクラハトテモウツクシカッタ」とあるが、ソローキンが亡くなったのは2月。サクラはまだ咲く時期ではないのに何故…?
この謎が、ソローキンの日記とゆいの日記を照らし合わせることで明らかになっていく。


日露戦争時、ソローキンとゆい、戦争がなければ出逢えなかった2人だが、戦争のせいで世間を気にせずに愛し合う事が出来ない。
なんとも皮肉な切ない純愛ラブストーリー。

自分の弟を殺し、兄の片足まで奪った敵国の軍人を愛してしまった事へのゆいの葛藤と周りへの後ろめたさがすごく伝わった。

ソローキンを書類上は死んだことにして、ロシアへ逃すために頭を下げたのはゆいだったと知った時、ソローキンはどう思ったのだろうか。心の痛みが伝わる。

ソローキンが無事祖国へ帰れたのは良かったが、なぜ手紙は届かなかったのだろうかと。
返信もないまま送り続けたゆいの愛と、最後の一通と決めて送った手紙が届いた奇跡。
しかしその奇跡はソローキンの生きている間には叶わなかった事が苦しかった。

きっとゆいはソローキンとの間に出来た子供を愛する事で、ソローキンと過ごすことを夢見た未来を感じていたのだろうと思う。

ソローキンの残した日記の中の一節「サクラハトテモウツクシカッタ」。日本をまだ見ぬサクラに例えていて日本"松山"に対する深い愛を感じた。

それにしても、親が決めた結婚なのに
相手がソローキンとの子供を自分の子供のように育ててくれた旦那は本当に心の広い素敵な人だと思った。
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