しの田

魂のゆくえのしの田のネタバレレビュー・内容・結末

魂のゆくえ(2017年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

 全てを投げ出し運命を受け入れるのは素晴らしいことのようだけど、やはりそこにも安寧は無い。
 結構伏線がしっかりしていて、多面的な人物造形、シンメトリーとかで図像的なショット、シナリオ以外のところもなかなか良かった。
 苦悩を丹念に描き出し、そして波乱のラスト。一転二転三転、どういう意味なのかよくわからない。①夫の意思を継ぎ自爆。これは分かる。とりつくしまもなく、聖戦のつもりでベストを着る。ここ『タクシードライバー』みたい。②妻の出席で断念し鉄線と洗剤で自殺。茨冠を模倣していて、気休めの酒ではなく真の救いを。式典出席者を責めるつもりの計画を変更せざるを得ないので、また違う形の殉教。③妻の登場で熱いキス。えっ⁉︎あれ???あ、好きになっちゃってたんか……そうか。聖歌は流れ続けるなか、洗剤を放り出し女のもとへ。素敵だ〜と思えない。それは多分、④ぶつ切りに終わるからだと思う。目の前が真っ暗になる絶望、逃げて隠れて、敵の気配を感じる恐怖。最後は信仰も環境保全も投げ出してしまったのでは。もしくは、メアリを通して神を感じている?いずれにしろ、彼の幕降りはハッピーエンドではない。彼はその後メアリと再婚するかもしれない、すっかり元気になったなとアバンダントライフの人が喜ぶかもしれない。それはそれで幸せなヒューマニズムの生き方だが、やはりそれも、目を背けているだけなのでは。宗教熱とはまた違った狂気。少なくとも私たち観客はやばい地球に手をこまねいているままだし。
 ドアの開け閉めに意味がありそう。牧師が基本戸を開けっぱにして生活してるのが気になる。単に癖か、文化の違いかも。祈るときは後ろの戸を閉じる?
 題名はなんだろう。改革の初期段階、礎となった人たちへの言及?それなら『魂のゆくえ』とは。そんな議論あった?何処から繋がってこの邦題にしたんだろう?
しの田

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