ぜにげば

孤狼の血 LEVEL2のぜにげばのネタバレレビュー・内容・結末

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

前作に続いて今作も面白い!
特に序盤から中盤にかけて最高だったなー。

前作を見てるからこそチンタと瀬島が殺されるんじゃないかっていうのにドキドキして、そのどちらもが二転三転して両方裏切られた。
この2人が今作の面白さを作り上げてると言ってもいいな。まあ内容的に当たり前っちゃ当たり前だけど。
こっからどうなる?ってタイミングでの瀬島の正体の発覚の仕方とか、やべえわ。
わやくそになっていく感じがほんともうたまらんかったわ。

ただ途中萎えた瞬間があって、それは上林に向けた銃弾が当たらなかった所。
あの瞬間に一気に萎えて、「うわ…ジョンウィックとかキングスマンとかワイスピとかMCUとかミッションインポッシブルみたいな銃撃戦がはじまっちゃうの?求めてないよ!!!」と思って、案の定全く弾が当たらなくなって、同時にカーチェイスまで始めちゃって、日岡に関しては重症で怪我まで負ってんのに「何が起きてるの…これ孤狼の血…?」状態だった。

ただそこに対する補足は一応あった。
それが
上林「悪魔がついてる」(確かこんなセリフだったよね)
日岡「警察に使われてただけ」
ってやり取り。

まずこの上林のセリフが今までの銃弾が当たらない事について触れていて、そして日岡のセリフで上林が一気にちっぽけになって、確かに弾が当たらなかったり弾切れ起こしたりしたのは幸運だけど、使われてただけで、結局死ぬし、思い上がってただけなんだなとなる。
補足にはなってないけれど、所謂「孤狼の血LEVEL2によるセルフいじり」になっていて僕の気持ちは補完してくれた。
ただ、それまでの時間はくだらなかったから、それが前作より個人的な評価が低い理由かな。

その後の嵯峨の拳銃で目を撃つシーンとかは“仕返し”を二者に対して同時に行っていて、気持ちよさが倍増している。
前作の裏をかいて最後に勝つみたいな展開とは違って、力技でやり通した感じがすごく良かった。同じじゃつまらないしね。

瀬島が真緒に殺されるのも少し笑えもするしカタルシスあるしそうなるよなとなるしで気持ちいいし、やって欲しいことを全部やってくれるという安心感がある。

一番最後のニホンオオカミの所はどういう意味なんだろう。
「やり過ぎるとニホンオオカミのように追いやられるぞ」的な忠告があったから当然日岡とニホンオオカミは重なる訳で、追いやられるってのが現状の田舎に追いやられたことなのか死ぬ事なのかは分からないし、ニホンオオカミも幻覚なのか実在してるのかも分からない。

自分の居場所を追い求めるって解釈で良いのかな?
ニホンオオカミが絶滅した前提で話すなら、もう田舎からは出れないって事で良いのだろうか。
ずっと駐在さんのまま?
まあ時代が現代に近づいていて、ヤクザも上林以外は一応ちゃんとした方に進んでた訳で、現実でもそう(完全にとは言えないけれど)なんだから、もう孤狼の血はこれが最後ですよってメッセージなのかな。

作中で日岡はガミさんと違ってヤクザまがいな事してるって言われてたし、ニホンオオカミの比喩はヤクザにも日岡にも言える事だから、ヤクザと日岡共にもう幻ですよみたいな事なのかな。
だとしたら時代の流れに則しつつ、「でもどこかにいるかもしれないね」みたいな余韻も残すオシャレなやり方だ。

日岡が変われば、それこそガミさんみたいになれば戻れるだろうから、「日岡は変わるよ」って意味として捉えるなら続編にも期待ができるかな。

まあピンと来てるかって言われるとそうでは無いんだけど、何かしらの意味あっての事だろうし、それは続編があればそこで分かることだろうからいずれにせよ楽しみだ。


気になった点が何点か。
・西野七瀬さんについて
低い声を出せない方だと思うから、さすがに配役する側のミスでは?と思ってしまった。
演技力も高いとは言えないし、前回が真木よう子さんだから余計に…。
あの人にママの貫禄は一切感じなかった。
ただ西野七瀬さんについてあまり興味がなかったのだけれど、似合ってはいたから、20年後の西野さんがやってくれればベストかなぁと思う。

経歴から来るイメージ(西野七瀬さんの場合アイドル)を払拭する程の演技力か、映画にあった経歴の人物じゃないと、悪い言い方になってしまうけどどうしてもノイズになってしまうと思う。


・眼球について
これは僕の落ち度な気がするけど、くり抜かれた目を目と捉える事が出来なかった。作り物に見えた。
トータル・リコールとかthingとかの偽物と分かった上での魅力はあったけど、でも偽物と分かりたい訳ではないから、あんまり「目がくり抜かれてる…やばい…」と没入はできなかったかな。

くり抜かれた眼球なんて当たり前だけど見た事ないし、まあそれはほかの死体とかにも言えることではあるんだけど、眼球ってアニメやゲームでやたらモチーフにされてるから、目というだけで虚構と思ってしまう部分ももしかしたらあるのかも。
虚構の中で一番バリエーションが多い人体のパーツが目だと思うから、それ故に厳しい目で見ちゃうのかもなぁ。

・上林について
上林の目をくり抜くっていうこだわり自体があんまり好きじゃないのかも。

死柄木(ヒロアカ)みたいなヴィランとヤクザは全く別のもので、上林は他のメンバーがヤクザじゃなくなっていた所に現れた、時代に取り残された本物のヤクザであるはずなのに、そこにエッセンスとしてヴィランが入ってる事にもの凄い異物混入感を覚えてしまいました。

原爆ドームの描写とかも正直いらないし、なんか「ゴジラをやった」らしいけど、「虎狼の血でやらなくていいよ…」って思う。


・タフ
いや日岡タフすぎ。
これこそなんかジョンウィックとかMCUとかワイスピとかに寄っちゃってる気がする。

全体として細かい所でそういうエンタメっぽさが入っちゃってるんだな今作は。


最後に
つらつら不満点書いたけどスコア見てもらったら分かる通り好きです。
上林の事嫌いかって言われるとそんなことも無いし。
鈴木亮平さんもすごく良かったし。
滝藤さんも好き。




2021/09/15追記
日岡はガミさんは結局死んだからやり方を変えたわけで、そもそも完全に継承してた訳では無いから、そこにノれない人は多そう。
僕はそこに「なるほどなそうなっちゃったか」と思えたからチンタの死にも納得してるけど、そうじゃない人は火に油を注がれた感覚になりそう。
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