事前にNHK-BSのメイキング番組を観ていたので、慣れない現場で緊張する是枝監督が、本領が発揮出来なかったのではと懸念したけれど、杞憂であった。取り立てて大きな事件も起きないけれど、抑制の効いた演出で、心地よく修復されていく家族の物語を堪能した。決して是枝裕和最高傑作、とかじゃないところが逆に良い。
思えば、日本人監督でオール外国人キャストで、こんなに肩の力の抜けたドラマ映画は、これが初めてなんじゃないだろうか？ それくらい自然に、フランスと日本が繋がった感覚がある。カトリーヌ・ドヌーヴが樹木希林に見えて来るという感想が多いのも頷けた。
ラストの空を見上げた家族の俯瞰のカットが、きれいな三角形を作っていたのも印象的。駆け込みだったけど、劇場で観られて幸せだった。
