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町田くんの世界のkiritoのレビュー・感想・評価

町田くんの世界(2019年製作の映画)
3.7
【保健室】

正直。終盤の風船のくだりさえなければ、4.0あげてもよかった。

世界はこんなにも汚く、醜い。
他人を助ける気持ちも思いやりも存在しない。
そんなクソみたいな世界にあって、「町田君」はただ一人「人の心」を考えることができる子だった。

描写としては、町田君とかかわった人しか町田君のことが見えていないという設定も面白い。
たとえば、クラスの子もそうだし、バスや電車の中の人物もほとんどが携帯を触っていて、町田君の存在を認識していない。これは「聖人君主」のような人は存在するかもしれないけど、あえて見ようとしていない現代人の表れなのだと僕は受け取った。
また、引き立て役としての葛藤しながら日々の仕事をするゴシップ記者(池松君)の役も町田君を引き立てるために効果的な作用をしていた。

逆に、町田君と関わった人は全員が何かを考え直すきっかけを作られている。
結局、「素晴らしき哉、人生!」みたいな終わり方に弱い。

あと、たぶん、町田君が近くにいたら、自分はなんてひどい人間なんだろうと痛感してしまうと思う。
だからこそ、猪原さんの言葉や行動についてはすごく理解できたし、彼女の気持ちは痛いほどわかった。

今作は新人2人を主役に添えるという企画でもあるのだが、この2人は今後の活躍が期待できる演技派だった。
脇役は本来主役を張れる人も多く、撮影現場がどんな感じだったのかすっごく気になる。

あ、あと前田のあっちゃんの役と演技と最高すぎた。
あーいう女の子結構好き。

2019.6.13
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