Toineの感想文

戦慄の絆のToineの感想文のネタバレレビュー・内容・結末

戦慄の絆(1988年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

【愛する2人の男女によって打ちひしがれる双子の片割れの物語】

まずは邦題が秀逸で素晴らしいです。
考えた人天才!

クローネンバーグ監督節の自立って難しい、
苦しいよねというお話ですね。

オープニングの背景の赤色。手術着の赤色。ネクタイの赤色。車の赤色。洋服の赤色。血の赤色。
要所で目に入るよう計算された赤色の使い方が素晴らしい!

1975年に起きた実在の事件から着想を得たとのことですが。
クローネンバーグ監督はピーター・グリーナウェイ監督の「ZOO」を観てこの作品を作ったのではないかなとも思うのです。
影響されている部分がある感じがしました。
(個人の意見です)

双子の俳優を起用せずクローネンバーグ監督の好みの男に1人2役させる所なんかも変態で最高だなあって。
ジェレミー・アイアンズさんのビヴとエリーの演じわけ凄かったです!何かエロかった!

弟がビヴァリーという女性の名前だから、兄エリオットも自分の事をエリーと呼ばせているのですね。たまらんね♪

超真面目に変態映画を作っているクローネンバーグ監督をリスペクトしながら私も大真面目に考察いたしました。

【以下が考察です↓】
弟(ビヴァリー。以外ビヴ)は内気で気が弱い故にずっと大好きな兄(エリオット。以下エリー)の言うとおりに過ごしていて、大好きなんだけれどエリーばかりが欲しいものを手に入れて目立ってる。名声やらを兄に譲り続ける人生は悔しいという気持ちもずーっと抱えてた。

今まで何でもエリーが決めていたけれど、ビヴは初めて恋をした。
恋は本能的なものだけれど、生まれて初めてエリー以外の人と一緒に居たいと感じた。これはビヴが初めて何かを自分で選択したって事だと思いました。

エリーはそれに気がついて内心面白くないし、ビヴがあの女性に取られてしまうのではないかと不安になった。
女性への愛とエリーの気持ちとの間でビヴは苦しくなった。だから薬物に逃げた。

自分だけがエリーに依存しているのだと思っていたが、エリーも同じようにビヴに依存していると知った。

ビヴがエリーを◯すシーンでシャム双生児のチャンエン兄弟の事を話したのは、自分たちはシャム双生児ではないけれど一卵性双生児だからもともとは体が1つだった。そして今は心が1つに縛られている。
それを切り離さなければならない。

兄を◯すことは、兄からの自立を意味するのだろうと思います。

ビヴはエリーを◯した後、公衆電話から女性に電話をかけたが、心が葛藤した。
どうしてもエリーを断ち切れなかった。
だから無言のまま電話を切った。

心の繋がりはエリーを◯しても切り離せなかった。とうとう自分は自立できなかった。
依存したままビヴもエリーの後を追うことを選んだ。

死によって彼らは解放されたのだろうか?
生きていても亡くなってしまっても関係ない。
双子は見えない糸でずっと繋がれている。
やっと離れたつもりだったのに。
最期は2人が1つになった。