このレビューはネタバレを含みます
私はこの世界に〈ひとり〉として生まれてきて、プラトンの饗宴で言うところの「おなかの繋がった片割れ」を探し続けてもがいているというのに、あなたたちはかっこいい器具で分離作業を行うわけですね。わけなんですよ。3人で踊るところよかったな。他者と関係をもつということは、もうひとりの私との前戯なんですね。もうひとりの私と明日と明後日はこのドラッグをやろうと画策したいし、毎日同じ時間にドラッグを飲んでみたかった。心底うらやましい。私にもうひとり、私がいるような気がしてきてワクワクしてきますね。だとしたら、私は分離手術を行わないはずです。
たとえば他自我(奇妙な言葉ではあるが、ペルソナ、と言い換えてもいいかもしれない)、彼(女)の殺害においても、きっと私は電話口で誰かと尋ねられたらガチャ切りしてしまうでしょう。
分離したい片割れは、あなたのおなかの外にいるでしょうか?
いてもいいかもしれないなと思ってきました。いや、いました。そこにいたんだね、ずっと。
話は変わりますが、分裂病傾向のある人は乖離系のドラッグね、あんまり手を出さないほうがいいですね。混濁のかんじが妙に生活感があって参りました。演技がよくて持ってかれます。観終わったあと壁にいっぱい頭をぶっつけていました。
この監督のマッドでエロな感じが大好きなんですけど、グロテスクさがかなり私の閾値ぎりぎりだったんですよね。他の作品観られるかな。しばらくレベル上げなきゃ無理かもですね。