九月

キングの九月のレビュー・感想・評価

キング(2019年製作の映画)
4.1
イングランドの国王であるヘンリー4世の長男ハルは、王位を継承することに興味はないといった様子で放蕩生活を送っている。
ヘンリー4世は独裁的で、戦争が絶えず続いているが、無駄な争いは避けたいと平和を願うハルとはどうしても反りが合わない。
しかし父親が重病を患い急死してしまったため、ヘンリー5世として国王の座に就くことに。

先代のヘンリー4世はフランスと戦うという野望があったが、その意志を受け継ぐ気は全くないハル。しかし、ハルはその気でも、フランス王シャルルがヘンリー王の暗殺を計画しているという情報が、フランス人の亡命者から伝わってくる。
ハルはそれを無視しようとするが、周りの強い反対もあり、結局イングランドとフランスの全面的な戦争が始まってしまう。

結局イングランドの勝利で戦争は終わり、フランス王は、降伏する代わりに娘のキャサリンとの結婚を、ハルに懇願。
正直者のキャサリンは、フランス側は誰もハルの暗殺を企てていなかったと言い、実は内部に裏切り者がいたと知ることに。

若きハルは、フランスに勝利し国王の地位を確立させたものの、失ったものがあまりに多く、ラストは何ともやるせない気持ちになってしまった。
ハルは、多くのものは望まないから、ただ常に真実を語ってほしい、とキャサリンと約束するが、一国の王の、妻になる人への望みがそんな基本的なことなのか…と、この時代の重苦しさが伝わってきた。

ティモシー・シャラメの美しさが暗い中に輝いていたけれど、それだけじゃなく、泥臭さもあって、特にイングランド兵を鼓舞するために声を張り上げるシーンは迫力があってとても良かった。
フランス語で話す場面もあり、ティモシーの演技を堪能できた。
九月

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