みゅうちょび

ビューティフル・ボーイのみゅうちょびのレビュー・感想・評価

ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)
3.7
このタイトルがとてもせつない。

だらだら書いてます😓

ジョン・レノンが息子のショーンに歌った曲のタイトル。映画の中でも、スティーヴ・カレル演じる父親デイヴィッドが、眠る息子ニックの肩を撫でながらこの歌を口ずさむ。

薬物がどれほど身近に存在し、人の心を簡単に蝕んでしまうものか、また薬物に侵された家族を救うことがどれほど難しいかがリアルに伝わってくる。

親の見えない世界で、息子がどんな悩みを抱えているのか…親友のように過ごした日々を振り返り、どこで間違いが起こったんだろう…

薬物と関わりを持ってしまうのは、事故のようなものかも知れないと考えると、映画の最後でアメリカで50歳以下の死因の1位が薬物の過剰摂取であると記されるのもわかる気がする。

利発で頭も良くスポーツも万能、家族にも優しく、なんでも語り合え、素晴らしい息子のはずなのに…

スティーヴ・カレルを父親役にしたのは凄く上手いキャスティングだなーと思った。彼は、自分の信念を貫くちょっと可笑しな堅物役が多いけど、父親デイヴィッドも息子を愛し、そして頑ななほど信じてる。だから決して息子を責めないし諦めない。自らコカインを試すまでして、息子を理解しようと手を尽くす姿が、時に滑稽にすら思えてくる。

もっとも辛いのは、どんなに我が子を愛していても、その心の中は分からないことだね。

父の再婚の結婚式でのニック、妹や弟という新しい家族が誕生した時のニック、いつも幸せそうな笑顔を思い出す。大好きな父親の幸せを願う息子。期待に応えようと頑張る息子。だけど、その心の奥深くにある寂しさや不安や葛藤までわかってはいなかったんだろうなとも思う。

そしてそんな心の隙間を埋てくれたのが薬物だった。

ニックは言う。「クリスタル・メス(薬)をやった時、何が自分に足りなかったのかが分かったんだ」

大好きな家族を裏切って、悲しませ、苦しみを与えてしまっても、意志の力だけでは抜け出すことができない。クリスタルメスという薬物は脳神経にダメージを与える最悪な薬物。これに依存してしまうと治療・更生が成功する確率はわずか1%だと言う。

どんなに深い愛と忍耐をもってしても、我が子を救えない無力感と挫折感は耐え難いに違いない。

これは、薬物依存だけの話ではないのではないだろうか?鬱や引きこもりの子供を抱えた親達にも通じること。

この映画って薬物依存の恐ろしさもテーマとしてはいるけれど、子供とは言え1人の人間であり、親が思う以上に多くの悩みや葛藤を抱えていて、それを理解することがいかに難しいかを描いているんではないかな。親だからこそ、難しいのかもしれないな…

ティムの美しさよ…正にビューティフル・ボーイ。薬物でボロボロになるという感じではなかったけど、観ている方も、この子が、なぜ??!!と考えてしまうような彼の容姿がこの映画では効果的だったと思う。
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