ぷーや

愛がなんだのぷーやのレビュー・感想・評価

愛がなんだ(2018年製作の映画)
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映画で3度(くらい)象徴的に描かれた動物園の象は、テルコのマモルに対する心の動きのモチーフだと思いました。最初は柵のむこうから見ているだけで手が届くことはなく、それが愛なのか情なのか憧憬なのか確かめることもできないけど、柵を乗り越えることで自分で餌をあげられるようになり、手懐けることができるようになり細部が明瞭になってゆく。テルコのマモルに対する心の動きは、まさに愛がなんだであって、あえて一番近い言葉を選べば執着だろうか、とにかくそれが彼女の中で像を結んだからこそ、最後の飼育員姿に繋がったと。
作中でテルコに生じたこういった変化を、前進とみるか後退とみるか、あるいは横移動とみるかは、この映画を見た一人ひとりの立ち位置によりけりで、だからこそ私は共感できた、あるいはできなかった等があるのだけど 、日を追うごとに拡大していった公開規模からすれば、多くの人に響くところがあったのだろう。
それほど作中の誰かに自己投影することはなかったけど、それはそれとして、私の知らない彼らが愛おしく実在感をもって描かれていること、彼らの世界を垣間見れたこと自体にこの映画の価値を感じるし、好きなところでもある。
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