黒澤映画にタイムスリップしたかのような映像にびっくりした。
尤も、エレファントマンのようにモノクロ映画にする意義がある作品ならともかく、主人公の独白や拳銃の質感に深みを出すための小手先の演出にしか感じられず段々シラけてきた。
半ばあたりで出てくる刑事とのやりとりも現実感に重きを置いた尋問というよりは文学的対話で、セックスシーンを含めとにかく全体に雰囲気を出そうとする傾向が強く、それはラストで映像が切り替わった瞬間の空疎な空気感に結実している。
モノクロでなかったらとても観られた作品ではなかったと思う。