このレビューはネタバレを含みます
残虐なのに、全てが美しい
到底理解できない行動が多々ありながらも、全てに「愛」と理由をつけられてしまえば、頷かざるを得ないような説得力がある。
躊躇なく人を殺しながらも、友人の母からの誘惑は「旦那さんに悪い」と断ったり、両親から貶される友人を慰めたりといった、カルリートスの非人道的な行動と人間味がある行動とのギャップがとても良い。
ラモンとカルリートスの関係がひたすら切ない。身体的接触は最小限ながらのあの色気…… そして二人とも息を呑むほど美しい。
マリリンモンローのシーンと、最期のドライブ前のシーンが特に好き。
カルリートスの、殆ど一方的にラモンに愛情を寄せながらも、決して詰め寄らない姿は奥ゆかしくも見えて、けれど二人の最後には絶対に幸せになれないという、最初から決まっていた結末がありありと映し出される。ドライブ前のシーンでラモンから擦り寄る姿は、もしかするとカルリートスが見た幻覚かとも思えるほど儚く、この時には全てがもう遅い。
個人的に気になる点
・刑務所に入れられたラモンを助けに行かなかった(身分証が無かった? 本当に罠だと思っていた? 俳優への道を阻止したかった?)
・車の破棄(向こうで「(車を)捨ててくる」には何か意味合いがある?(ベイビー・ドライバーではそんな事なかった気がするけど…) 木に車をぶつけた理由)
音楽もとても良かった! アルゼンチンの音楽ってあまり聞いたことがないので、色々聞いてみたくなる。
そもそも事件について詳しくないので、もう一度行くなら少しは勉強してから行きたい。
邦題について
個人的には好きだけど、解釈の幅を狭めているようにも感じる。
カタカナタイトルにはできなかったのか。
個人的には好きですけどね!