あきら

永遠に僕のもののあきらのレビュー・感想・評価

永遠に僕のもの(2018年製作の映画)
3.8
ああこの人赤ちゃんだ。

サイコパスだとか悪魔だとか、いろんな比喩を目にしたけれども、なにげにどれもしっくりきてなくて…

ぽっこりおなかに白ブリーフ、天使の巻き毛にふっくら唇。
これはただの赤ちゃんだ。

だからそこに知性はない。
他人を想うことも、世界を知ることも、自分を考えることもない。
無垢で純粋でどこまでも真っさらで本能的。
そして空虚。
環境に恵まれていようが、両親から愛されていようが、カルリートスはただ空っぽな赤ちゃんだ。

正直ラモンなんて猛々しいだけのDQNで、どこがいいのかわかんないし、しかも家族ぐるみでクソとかどういうことよ。

ってかブラジル警察ほんとダメだな!?
あんな杜撰犯罪が捕まらないとか意味がわからない。

でもさ、赤ちゃんにも感情はあるのよ。
欲しいっていう欲はある。なんなら銃とかいう手段もある。
けど、いちばん欲しいものは手に入らない。

諦念をたたえつつ終始赤ちゃんの顔をしてたカルリートスが唯一見せた強い瞳が、ラモンを連れての地獄へ道行直前の一瞬だったなんて…
それしかなかったんだろうなって思うけれども、やっぱり切なすぎた。


その後にあるのは、同性愛者だってだけではない虚無。
空っぽの金庫に彼はどんな夢をみたんだろうかね……
あきら

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