Roxy

イーディ、83歳 はじめての山登りのRoxyのレビュー・感想・評価

5.0
頑固ばばあとふにゃっと芯のある青年のお話

そろそろ老後を考える歳に差し掛かり、きしむ関節に鞭打って観に行きました。80代の未亡人と、孫ほどの年齢の青年のほぼ2人芝居です。介護と忍耐の末、心まで鬼瓦のように硬くなってしまった高齢の主人公が、最初は小遣い稼ぎで登山ガイドを引き受けた青年と接するうち、封印していた可愛らしい一面をちらちら垣間見せます。頑固な彼女に手を焼き、標高800m弱のスイルベーン山に1人で登らせる青年ですが、心配で心配でしょっちゅう確認の電話を入れたり、影になり日向になり彼女を支えます。単独登頂しないと意味がないと息巻く彼女も、突然の雨の中偶然辿り着いたまたぎの山小屋に世話になったり、女性ハイカーに道行を心配されたりと、他人の親切に触れるうち、頑なな心が徐々に解けてきます。

彼女と青年の年齢設定を変えれば、歳の差カップルのラブストーリーにも成り得たでしょうが、そんな陳腐な展開にならないのが良いですね。山頂近くで彼女が青年に言った「こんなに幸せを感じたのは子供の時以来。あなたにはそんな人生を送って欲しくない」という台詞が胸に刺さります。

2020/2/5 8:37
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