安堵霊タラコフスキー

踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

1.0
以前からずっと述べようと思っていたことをようやくここで発散したい。

1999年に恐怖の大王が現れて世界を崩壊させる、みたいことを予言集でノストラダムスは記したらしいが、日本の映画界ではその前年に恐怖の大王たるこれが現れて邦画を破滅へ導くこととなった。

TVシリーズがあまりに人気だったからってのもわかるし自分もあの頃若かったからそれなりに楽しめていたけど、物語を伝えるだけのドラマの文法をそのまま劇場版に持って来たものだから作りがキャッチーでチープ過ぎていけない。

小泉今日子のキャラや使い方もレクターやセブンのジョン・ドゥっぽいことをやろうとしたのはわかるけど、これまたキャラの作り込みや演出が稚拙だからそれっぽい風にしか見えないし(というか改めて見ると登場のシーンがまんまジョン・ドゥで逆に萎える)、参考にしたであろうキャラより魅力が感じられないものとなっていた。

映画的な文法をTVドラマに取り入れたことで多数の指示を得ることとなった24以後のアメリカドラマとは逆に、TVドラマの文法を映画で用いてヒットした結果似たようなTVシリーズの劇場版やそれに近い映画ばかり作られ、邦画全体が安っぽくなり映画ファンから見放されることとなってしまうが、その本格的な先駆けとなったが故にこの劇場版をいつも以上に厳しい目で見てしまう。

色々言いたい文句はまだまだあるけど、とにかくここ最近叫ばれて久しい日本の実写映画のクオリティ低下における最大の要因はこの劇場版ドラマ(決して映画と言いたくない)である、そのことだけは声を大にして主張したい。

それにしても黒澤明が亡くなって翌月にこんな拝金主義の権化たる代物が劇場公開されたなんて、現在の自分が1998年にいたらきっと日本の映画界に絶望して発狂していたことだろう。