MasaichiYaguchi

ロケットマンのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ロケットマン(2019年製作の映画)
3.9
私はエルトン・ジョンが好きで何回も来日公演に行っているが、派手な衣装やパフォーマンスの裏に、本作で描かれたような過去や“素顔”を持っているのを初めて知った。
エルトン・ジョンの全盛期は私が10代後半だった1970年代だが、主演のタロン・エガートンが吹き替えなしで熱唱するシーンを観ていると、当時のコンサートだけでなく、その頃の自分自身も蘇ってくる。
昨年公開されて社会的ブームになった「ボヘミアン・ラプソディ」で描かれたクイーンのフレディ・マーキュリーのステージ衣装も派手だったが、エルトン・ジョンの衣装の派手さには“道化”のような可笑しさと悲哀が何処となく漂う。
両親からの愛情が注がれない少年時代、同性愛者というだけではないと思うが、真の愛に辿り着けない青年時代、エルトンはその満たされない思いを曲に乗せて歌っていると思う。
監督は「ボヘミアン・ラプソディ」のデクスター・フレッチャー、「キングスマン」のマシュー・ボーンが製作を担当、そして本人が製作総指揮している本作は、スーパースターへ上り詰めていくエルトン・ジョンのキラキラした栄光とは裏腹に、常に愛に餓えて求め続けた彼の葛藤や苦悩の姿、その光と闇を数々のヒットナンバーと共にミュージカル仕立てにして浮き彫りにする。
主演のタロン・エガートンの歌やダンスパフォーマンスに舌を巻くと共に、改めてエルトン・ジョンの名曲に酔いしれてしまいます。