三樹夫

デュエリスト/決闘者の三樹夫のレビュー・感想・評価

デュエリスト/決闘者(1977年製作の映画)
3.2
リドスコ先生の長編デビュー作。1800年のフランス、市長の甥と決闘した決闘マニアのハーヴェイ・カイテルに謹慎処分の伝令を伝えてこいと言われたキース・キャラダイン。命令に従い伝令を伝えたが、婦人の前で恥をかかされたなどと逆恨みされ決闘を申し込まれる。そこから15年に渡り度々決闘で戦うという決闘映画。
訳の分からないうちに決闘となり、そこから度々決闘を行う。何度も決闘をしているうちに何故決闘をしているのか分からなくなる。決闘が始まる理由は今観れば、有害な男性性の発露による下らないものだと思うのだが(『最後の決闘裁判』の決闘みがある)、観ているうちにこっちも何でこいつら決闘なんかしてるんだと分からなってくる。
この決闘のイメージはリドスコ先生の作品では度々繰り返され、『最後の決闘裁判』の決闘も思い起させるが、この作品が後に特に色濃く出ているのは『ブレードランナー』だ。キース・キャラダインとハーヴェイ・カイテルの関係はデッカードとロイ・バッティと似ているし、何よりこの映画の最後の銃による決闘が『ブレードランナー』のデッカードVSロイ・バッティと全く一緒となっている。

剣対剣、馬上での決闘、銃での決闘など趣向を凝らした決闘があり、3度目の決闘のお互いフラフラになるまで戦うシーンは印象に残る。馬上での決闘では、フラッシュバック的に人生の走馬灯のようなものが散発的にインサートされる。短いカットがインサートされるがその度にBGMが途切れる中々面白いというか所謂スタイリッシュな演出になっているが、この演出は止めといた方がいいんじゃないと当時反対されたとのこと。また既にスモークをモクモク焚くリドスコ先生お得意の手法は多用されており、映画監督の1作目にはその監督の全てが詰まっている説を裏付けるかのような作品に感じる。
三樹夫

三樹夫