ヨッシー

映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDSのヨッシーのレビュー・感想・評価

2.0
『妖怪ウォッチというコンテンツの良さを見直した方がいいんじゃ...』

『妖怪ウォッチ』の劇場版シリーズ第5弾。

1960年代を舞台に、家族の魂を妖怪に奪われた少年少女達が友達妖怪と共に悪の妖怪に立ち向かう。

監督は1,2作目を監督した高橋滋春。

毎年冬恒例の『妖怪ウォッチ』の劇場版も今年で5周年。
ピークの時には『スター・ウォーズ』に勝ってしまうほどの人気のあった作品ではあるが、現在ではそのブームは完全に去り、なんとか続いてる感じになってる。

LEVEL5的にはその頃の栄光が忘れられないのか、なんとか盛り返そうといろいろやってはいるが、どうも迷走してしまってる印象が強い。
特に前作の『シャドウサイド 鬼王の復活』は『妖怪ウォッチ』としては一線踏み越えてしまった感じが強い。個人的には好きな作品ではあるのだけれど。

基本的にLEVEL5の良さというのはパッケージングのうまさ、つまりぱっと見面白そうに見せるアイデアとキャラクター作りが上手い会社で、特にゲーム会社としては重要な資質ではある。もちろんゲームとしてのクオリティも高いからここまで大きな会社になったのも納得なんだけど、正直ゲームとしてはいいが、アニメや映画としてはかなりアラが目立つ会社でもある。
特にストーリーの作りに関しては最初のアイデアこそ面白そうだけど、それを完全に活かしきる事が出来ておらず、かなりアラが目立つ。
なので、最初のアイデアは面白いんだけど、それを上手く調理する腕がない会社でもある。

『妖怪ウォッチ』の劇場版も毎回新しい事をドンドンやっていくスタイルで、1作目は基本6分程度の短編である『妖怪ウォッチ』の長編劇場版化、2作目はオムニバス形式、3作目は実写とアニメのハイブリット、4作目は新キャラでのホラー及びバトル要素の強化と毎回奇抜な事をやってて、毎年同じような内容の『名探偵コナン』や『ポケモン』と比べて毎回全然違う事をやってるあたりがLEVEL5らしい。これは良い所でもあり悪い所でもあって、特に前作の辺りからやる事が奇抜過ぎて、そもそも『妖怪ウォッチ』というコンテンツの本来の方向性とはだいぶそれてきている感が強い。

で、今回の5作目なんだけど、前作で主要キャラを一新して新しいスタートを切ったばかりなのに、また新キャラで話作るとなると流石に迷走しているようにしか見えない。

そもそも、テレビアニメの劇場版や続編なんかは世界観やキャラクターの説明をある程度省略できるという利点があるのに、それを(今年の『ポケモン』とかもそうだけど)自分から捨てちゃうのはどうなの?
前作はまだケータくんを主人公とした話を3年続けてからの新主人公でのスタートだから良いと思うけど、去年主人公変えたばかりなのにまた変えるとなるともう迷走にしか見えない。個人的のはナツメやトウマがそれなりに好きなだけにちょっとがっかり😞

しかも、当然今回はほとんどが新キャラな上にLEVEL5らしくキャラ数が無駄に多いからそのキャラ数を処理しきれるわけもなく、完全な詰め込みすぎになってしまっている。だから、せっかく王道的な感動ストーリーにしても細かい所が雑過ぎて薄くなってしまっている。

それと、これは『妖怪ウォッチ』というコンテンツの根幹に関わる問題なんだけど、そもそも『妖怪ウォッチ』という作品は、人間と妖怪、つまり人間とそれ以外の種族が絆を結んでいく物語のはずである。『ポケモン』や『デジモン』もそう。
なのに、今回は主人公の子供達の話に焦点を絞り過ぎてて、主人公達と妖怪達が絆を結んでいく描写がほとんどなくなってしまっている。前作も全員新キャラだったから少しその気はあったけど、まだ最低限は描いていたし、テレビシリーズではその点はちゃんと抑えてるんだけど、今回はそれを完全に忘れてる。妖怪側のメインキャラ?であるはずの猫又ですらそういうシーンはなしなのは流石に酷いんじゃない?
それに黒幕の指示で動いていた程度の存在とはいえ、主人公のシンやイツキの家族の魂を奪った張本人である玉藻前をちゃんと和解したシーンも一切ないのに「俺の友達」とか言って召喚するのはちょっと無神経じゃないかな。

バトルシーンも迫力はあるし悪くはないけど、次から次へと新しい妖怪を出していく分かりやすいインフレの繰り返しだからちょっと単調過ぎる。新しい妖怪のデザインとかも、もはや『妖怪ウォッチ』というよりは『モンスターストライク 』みたいになっちゃってて『妖怪ウォッチ』ならではのオリジナリティがなくなっちゃってるように感じる。

文句ばかり言っててもアレなんで良かったところも。
新しい主人公達のキャラクター自体は全然悪くないし、ストーリーも細かい所の粗に目をつぶればシンプルで一直線なのはいいと思う。かなり内容を詰め込んでる分テンポはいいから退屈はしないし、子供向け映画としては悪くないかもしれない。
伏線もちゃんと回収してるし、そういうところは割としっかりしてる。
あと、5周年記念ということもあって、初代シリーズやシャドウサイドと繋がる部分も多く初期から見てきたファンとしては嬉しいところも多い。ただ、若干過去作との矛盾が...ぬらりひょん、キャラ変わってない?それに初代シリーズとシャドウサイドの繋がり自体が結構ボロボロだから、ちゃんと妖怪ウォッチユニバース的なものを作るんだったらシャドウサイドをしっかり初代と繋がるようにしてからの方が良かったと思う。

結局のところ、前作にしても今作にしても、来年発売予定の『妖怪ウォッチ4』のための作品という面もあるから、そのために入れなければいけない要素が多くてこうなってしまったという部分も多いと思う。そういう意味では迷走してるのではなく、割と計画的に作ってるとも言えるかもしれない。
でも、これで来年もまた新主人公とかになったから完全に迷走ということになっちゃうだろうね。

どちらにしてもLEVEL5は『妖怪ウォッチ』というコンテンツの良さを見直したほうがいいと思う。
『妖怪ウォッチ』に限らず現在放送中の『イナズマイレブン』の新シリーズもだいぶ方向性を間違えてる感がある。世界編のまだ序盤なのに敵の妨害工作の話は早すぎるし、あの一星というキャラはゲスすぎてアイツが味方になるのすごい嫌だ。

とにかく、『妖怪ウォッチ』というコンテンツに初期から触れてきた身としてはこのまま消えてしまう気は惜しいコンテンツだと思ってるので、今後なんとか巻き返してくれる事を願っています。
あと、『イナズマイレブン』のゲームを早く発売してください🥺
ヨッシー

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