ヨッシー

コンフィデンスマンJP ロマンス編のヨッシーのネタバレレビュー・内容・結末

1.6

このレビューはネタバレを含みます

『いや〜見事に騙されましたわ(棒)』

フジテレビで放送されていた人気(?)テレビドラマの初の劇場版。

香港マフィアの女帝ラン・リウを次のオサカナとして狙うダー子達コンフィデンスマンの前に謎の天才詐欺師ジェシーが立ちはだかる。

監督はテレビシリーズの演出を手掛けていた田中亮。
出演は長澤まさみ、東出昌大、小日向文夫などに加え、新たに竹内結子、三浦春馬などが参戦。

久々のテレビドラマの劇場版であり、『劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』や『マスカレード・ホテル』などのフジテレビ制作、しかも『エイプリルフールズ』など古沢良太脚本と僕的には期待できる要素が皆無だった作品。

ちなみにテレビドラマシリーズの方は完全未見。
一応本作はテレビシリーズを見てなくても特に問題はない作りにはなっている。

テレビシリーズを見てないのでなんとも言えないところもあるんだけど、本作は詐欺師達(コンフィデンスマン)による騙し合い、つまり頭脳戦的な要素を楽しむ作品なんだと思う。
詐欺師らしくターゲットに近づいて信用を得てから騙して金銭なりを奪うというのが基本の流れなのかな?

あと、基本的に悪党をターゲットにしている『ルパン三世』的な義賊ものでもあるみたい。でも、ルパンが一見おちゃらけたキャラに見えてちゃんと彼なりの信念を持って行動してるのに比べて、ダー子はそういったものは感じず軽い気持ちで詐欺をしてるようにしか見えないのはどうかな?なんかなろう産主人公みたいでちょっとイラッと来るんだよね。
そこはテレビシリーズで掘り下げられてるかもしれないけど、少なくとも今回に劇場版だけ見たらあんまり好感を持てない。

今回は劇場版という事で海外が舞台で、香港マフィアのボスであるラン・リウというキャラから騙し取るために占い師として近づき信頼を得ようとするのが前半の展開になるんだけど、途中から何故かラン・リウの恋愛相談になっていってしまって、何をしようとする話か軸がブレてきちゃってるように感じる。

最終的には実はこの行動はちゃんと彼女から宝石を盗むための行動だったことが判明し、クライマックスには様々な人物達の裏切りや嘘による逆転の連続、要するに前半で貼った伏線を回収していく種明かし的展開になるのだが、テレビドラマの劇場版らしく全部台詞で説明するのはもはや当然のことだからこの際置いておくとして、その種明かしが全て、実は〇〇でしたという後出しジャンケンばかりで全然上手くない。

しかも、最終的なトリックがターゲット以外に人物は全てダー子達コンフィデンスマン側の人間で全員で騙していたという反則技。
それならなんとでも言えるよね。こういうのは様々な人物が様々な思惑を持って行動している中で主人公達がいかに他の勢力を出し抜くかが面白いところなのに最初から全部知っていて全部仕込んでたなんて面白くもなんともないわ💢
そんなクライマックスの種明かしで実はこうでした、実はこうでしたと後出しジャンケンで出しまくって「どう?見事に騙されたでしょ?」と言っている脚本のドヤ顔がチラついてイラっとくる。

キャラクター達の心理描写もかなり雑で、ボクちゃんはもう詐欺から足を洗ったとか冒頭で言ってたくせにあっさり仲間に戻ってるのも適当だし、1番酷いのは終盤で実はスパイとして動いてことが判明する新キャラのモナコで、終盤に本作の黒幕的なキャラがご丁寧に台詞で全部説明してくれる中でそのキャラの裏切りも暴露するんだけど、何故かその時にまるで本当はこんなことしたくなかったんですみたいな表情を浮かべるんだよね。その後の回想シーンとかを見てもコイツは完全にノリノリでスパイをしてたくせにこの表情は何?当然モナコとダー子達との掛け合いも軽い友達感覚程度のものにしか見えないからお互いに心から通じてたようには全く感じず裏切りによる衝撃も特にない。
しかも、裏切り者のくせに最終的にはそのことを特に責められることもなく何故か仲間になってしまうのも適当すぎる。

それとやたらと愛をテーマとして掲げてる感じを出しているわりには作中のは愛は全て偽物で裏切られてばかり。愛とは裏切られるものというのがテーマ何ですかこれ?

結局は最後の実は最初から全てを仕組んでました展開のせいで、中盤の流れの全てがただの茶番とかしてしまい、そこであったキャラクターのドラマ性も完全に偽物とそて消し去ってしまっている。
例えば、ダー子に関してはかつての恋人との因縁や憧れの存在である“スター”を乗り越えるなどの葛藤はいくらでも作れたのに、そういったドラマ性を完全に捨ててしまうというのはどうなんだ?

演技面に関してはそれなりの実力者が揃ってるから特に問題はないんだけど、東出昌大の棒読みっぷりがすごく目立つ。昔から棒読み役はとしては有名だけど、最近は割と上手くなったと思ってたらこれだよ。

ただ、ここ最近のフジテレビの映画の中では余計な感動の押し付けはない分『コード・ブルー』とかよりはマシかな。
正直ラン・リウのエピソードはあのまま行ってたらブチ切れそうだったけど、あそこまで清々しいほどに全部ぶち壊してくれたら逆に許せる。
まあだとしてもとても褒められた出来ではないし、これがまた『コードブルー』みたいに大ヒットしたら日本は大丈夫か?と思うけどね。
どうせテレビドラマの劇場版だったらまだ『賭ケグルイ』の方がオススメかな...アレもなかなかキツいけど😩
ヨッシー

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