Ken

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンのKenのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

公開初日と今日の舞台挨拶付き上映の2回を鑑賞。2回とも泣き過ぎて窒息しかけた笑。

やっっっと観れたって感じ。もうほんと待ち焦がれた作品。ここまで観る前から楽しみにしてた作品はかなり久しぶりかも。こんなに期待を膨らませていたにも関わらず、それを上回ってくるなんてもう、今作に携わられたキャスト、製作陣、テレビシリーズから主題歌、イメージソングを歌われてたTRUEさん、芽原実里さん、結城アイラさん、そして今作の制作に関わった全ての方々、流石としか言いようが無い。本当に素晴らしい作品をありがとう。

凄く凄く良かった。上でも書いたけど、泣き過ぎてほんと呼吸出来なかった。ヴァイオレットの物語を締めくくるのに、これ以上になく相応しいラスト。これで最後だと思うと、もちろん寂しいけど、間違いなくこれからも何度も何度も見返したいし、1人でも多くの人に勧めたい。そして、早速原作を読む事にした。

京アニのあの忌わしい事件があり、完成自体が危ぶまれ、公開も延期になった中で、昨日の公開日を迎えられたのは、本当に凄い事だし、良い意味で奇跡だと思う。事件の当事者である製作陣は、想像も出来ないぐらいの悲しみと苦痛を抱えながらも今作を作り切ったのは並大抵の事じゃ無い。でも、それだけの熱いエネルギーがこの作品からは感じられる。石立監督が仰ってた通り、製作陣皆んなの「何が何でも必ず完成させよう」って言う強い想いがあったからこそ完成出来たと思うし、「何とか完成品を観たい」と言うファンの熱い想いがあったからこそ、公開日を迎えられたとも思う。そう言う意味では、もちろん今作に限ったことでは無いけど、製作陣•ファン皆んなの想いが詰まった特別な映画だと思う。

相変わらず絵が綺麗で繊細で色彩も凄くて、光の使い方が素晴らしい。心を奪われるシーンはたくさんあるけど、1番のお気に入りは、ヴァイオレットがギルベルトへの最後の手紙を渡す日の朝の島の風景が本当に綺麗。
音楽もやっぱり名曲揃い。キャラクターの命とも言える声も本当に素晴らしい。声優はあまり詳しくないけど、相当な実力者揃いで固められてる印象。特にホッジンズ演じる子安武人が大好き。焼きたてジャパンのスーパー黒柳は忘れない。
そして何よりも、1番の魅力の人物描写とその心模様の描き方も素晴らしかった。
全てが大好きな作品。

話のベースに、あの傑作と言われてるテレビシリーズの10話の話を持ってくるの流石だし、ファンからするとたまらない演出。おかげさまで、まさかの初っ端からうるうるが止まらず大変だった。ヴァイオレットが居ない世界から物語が始まるストーリー展開は痺れた。こう言うのに凄く弱い。デイジーはヴァイオレットの軌跡を追ってるだけなのに、彼女に影響されてる辺りが凄いと思う。やっぱりヴァイオレットの書く手紙は人の心に入り込む力を持ってるんだなって。デイジー宛てでも無いし、古い手紙だけど、デイジーを見て、時代を超えた「繋がり」を感じた。

今回は、もちろんヴァイオレットとギルベルトの再会が1番の見どころではあるんだけど、物語の根底には「物事の移り変わり」って言うテーマがあって、凄く綺麗に描かれてるなって思った。「古い物が無くなっていく=悲しい」は良くあるけど、今作では「古い物が無くなっていく=形を変えてこれからも残る、物事が時代と共に変化するのは自然の流れ」って表現がすごく素敵で良いなって思った。電気の普及と共に、街灯も火⇨電球に変化。通信手段も、手紙⇨電話へ。物語の序盤では、電話は手紙を衰退させる悪い物として表現されてたけど、終盤のユリスとリュカのシーンでは、もう手紙を書く気力がほぼないユリスを見て、アイリスが電話を使う事を決断。結果、何とか亡くなる前にリュカに「ごめん」と「ありがとう」を言えたユリス。そして、家族には、普段なかなか口には出せない想いを手紙にし、天国に行ってしまった後でも、皆んなを暖かい気持ちにする事が出来た。ここでも、手紙も電話もそれぞれ良いとこがあり、変わる事は必ずしも悪い事ではないって言う事が美しく描かれてて良かった。

今作は、ヴァイオレットだけじゃなくて、ギルベルト、ユリス、ホッジンズ、ディートフリート、デイジー、皆んなの物語に感じた。皆んなそれぞれ抱えてる想いが有り、それが物語の進行と共に移り変わって行く姿が凄く良かった。

今回のヴァイオレットは、これまでのシリーズのどれともまた違った。テレビシリーズ、外伝と、回を増すごとにドールとして、人として成長して来た彼女だけど、今作ではもう完全に人の気持ちが分かる、「愛してる」とは何かを理解してる彼女だった。今まで以上に人間味があって、愛する人に会いたい、想いを伝えたいと願う普通の少女だった。今作でもたくさんの表情が見れて、どれも凄く綺麗だったんだけど、ディートフリートから「ギルベルトの小さい頃のものを居るか?」って聞かれた時と、ホッジンズから「ギルベルトが生きてるかも」って言われた時の表情に特に胸を打たれた。ヴァイオレットが、自身ではどうにも出来ない想いが溢れ、必死で希望に縋る表情が凄く良かった。

ホッジンズのヴァイオレットへの愛情が見てて凄く癒されるし暖かい気持ちになる。あんだけいろいろな事を共にして来たら、そりゃ父親的な感覚になるよね。本当に良い人。レストランのシーンで、初めて一緒にレストランに来た時の事を思い出しながら、今の彼女を見て、成長した喜びと同時に、大人になってしまい自分の元を離れて行く悲しみを感じるシーンが、まさに父親と娘って感じで凄くきゅんとした。後、ラストの花火の場面でも、もういないはずのヴァイオレットの名前を思わず言いながら横を向いてしまい、寂しそうにするホッジンズが堪らない。急に居なくなって寂しいよなー。寂しさだけじゃなくて、ヴァイオレットが大切な人と一緒になれた事への喜びの気持ちも混じったこの時の涙が素敵だった。

ディートフリート、だいぶ丸くなってて焦った笑。株が急上昇笑。あのギャップはずるい。でも、丸くなったのも、テレビシリーズでのヴァイオレットとの関わりがあったからこそだと思うと、ぐっとくる。ギルベルトの死を少しずつでも受け入れようとするけど、なかなか忘れることが出来ず、時間ばかりが過ぎてしまう。そんな人間味溢れる美しいキャラクター。

この映画で1番泣いたのはやっぱりユリスの最後のシーン。自分がもう亡くなる寸前にも関わらず、ヴァイオレットの事を祝福出来る優しさ、必死に何とかユリスとリュカを電話で繋ごうと奮闘するベネディクトとアイリス、ユリスとリュカの最後の会話、ユリスからの手紙を読み、悲しみと暖かさに包まれる両親、兄からの手紙を純粋に喜ぶ、まだ死を理解出来ていない弟のシオン、シオン宛の手紙だけ「兄より」って書いてあったところ、全てが泣けた。両親の涙が凄く綺麗で、気持ちが痛いほど伝わって来た。
序盤でカトレヤ姉さんがアイリスに言った「声で表情も伝わるものよ」がここに活きてて、更に涙腺が崩壊。脚本が本当に素晴らし過ぎるよ。

ポスターを見るに、ギルベルトは生きてるんだろうなーって思ってたけど、本当に生きてて良かった。テレビシリーズを見てた時からずっと願ってたから、本当に嬉しい。

ギルベルトは、ヴァイオレットから全てを奪ってしまったと言ってたけど、むしろ全てを与えたと思う。ギルベルトが居たから、ホッジンズと出会えた。字の読み書きを教えてくれたから、ドールにもなれ、職につけた。「愛してる」を言ってくれたから、その意味を知ろうと、多くの人と関わり、ドールとして、人として成長出来た。今の彼女があるのは、間違いなくギルベルトと過ごしたあの時間があったからこそだと思う。そして、ヴァイオレットだけじゃなくて、彼女の手紙を通して、多くの人が大切な人に想いを伝える事が出来た。

ディートフリートとギルベルトの兄弟の再会シーンも凄く良かった。構図も最高だし、死んだと思ってた弟が生きてたんだから、もっと感情を爆発させても良いのに、ギルベルトの気持ちも汲み取って、意外と冷静なところがまた良い。これも好きなシーン。

一個だけ唯一気になったのは、演出的にはドラマチックで好きなんだけど、島の少年がヴァイオレットに渡されたギルベルトへの最後の手紙を、あんな風ですぐ飛ばされてもおかしくないところに入れてて、ちゃんと渡さないとダメでしょって思ってしまった笑。あれが届くと届かないじゃ、皆んなの運命がだいぶ変わってしまう。。笑

最後の海辺でのヴァイオレットとギルベルトの再会シーンも凄く良かった。絵も綺麗で幻想的だし、やっと自分の気持ちに素直になれたギルベルトと、込み上げる想いに耐え切れなくなってるヴァイオレットが最高に可愛くて綺麗で愛おしい。「愛してる」って言いたいのに言えないところが、彼女にとってのこの言葉の重みが表されてて凄く良かった。

ギルベルトの「ヴァイオレットォォォ!!!」堪んなかったです。だけど、転け方激し過ぎて一瞬焦った笑。

最後、島の郵便局で働いてた男の人は、ユリスの弟のシオンくんであって欲しい。年齢的に違うかな?

ヴァイオレット、たくさん辛くて大変な思いもしたけど、最後には愛する人と再会出来て、想いを伝えられて、そして結ばれて本当に良かった。本当に心から嬉しい。


ヴァイオレットの切手めっちゃ欲しい。


最後に改めて、キャスト、製作陣、テレビシリーズから主題歌、イメージソングを歌われてたTRUEさん、芽原実里さん、結城アイラさん、そして今作の制作に関わった全ての方々、素晴らしい作品を本当にありがとう。
Ken

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