tyapioka

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンのtyapiokaのレビュー・感想・評価

4.0
ベタで泣かせるだけの表現力が凄い。花が印象的だが、海や光、土も美しい。病死の人が残す手紙ネタ2回に死んだと思っていた人との再会ネタ1回と本来なら泣かせに来てる感に引いてしまう盛り具合だが、描写の丁寧さと変に凝った遠回りをしない言葉選びが素直に響いた。再会という軸もずっと想っている姿を端々で描いていたからこそクライマックス、ハッピーエンドに繋がる。機械のような美少女が感情を爆発させるのもベタだがいい。特に生きているかもしれないとわかったときの手の表現力、不穏な展開を天気と斜めに画面全体を傾ける分かりやすさがよかった。最初、うざいと思っていた子どもに感情移入させたり、悪いやつなのかと思った大佐が一番カッコ良かったり、下げてから上げるのも上手い。「あいしてる」なんて今さら恥ずかしさすらあるメッセージを軸にベタで挑んだ傑作。個人的に社長の叫びや過保護、心配や不安が見ている側と一致しているなと思いながら見通した。しかし、一番「おっ」となったヴァイオレットの表情は会えなかった後の死んだ目。アニメは一切見ていなかったが、単体でもわかりやすいように主人公の過去を探る現代人が用意されており、単体としても優れていた。小刻みに泣けるシーンがあるため、ある一点に向けて高ぶって大号泣というタイプではないが、確かに泣ける。声優も凄くわざと突き放す声や、優しい声、期待する声、色々使い分けている。
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