さうすぽー

TAU/タウのさうすぽーのレビュー・感想・評価

TAU/タウ(2018年製作の映画)
2.0
自己満足点 37点

Netflixのオリジナル作品です。

一応SFですが、あらすじだけ見ると捕らわれた少女による脱出ものかなと思ったのですが、基本的にはタイトルロールにもなってる「TAU」という監禁部屋にいる人工知能との交流がメインです。

良かった点としては、
人工知能であるTAU自体はよく描かれていたと思います。
心を持たない人工知能でありながら最初は自分が人間だと思い込んでいます。
ですが、そこからヒロインと交流を深めていきます。
最終的には自分が人工知能と知り、存在意義について苦悩し一時的に暴走したりという一連の流れが切なく描かれていて良かったと思います。

光の当て方も比較的綺麗だったと思います。
あまり意味の無いライティングもありましたが、それでも印象に残った部分はあります。

今話した事を換算しても、やはり全体的に退屈に感じてしまいました。

まずは主人公のキャラクター性の薄さにあります。
同じNetflixオリジナルの「アウトサイダー」でもそうだったのですが、主人公のバックストーリーや心情が描かれていないと、主人公自体に興味を持たせないと物語自体に味気無いものになってしまうと思うんです。

良い例として、
タランティーノの「パルプ・フィクション」でブルース・ウィリスが時計を回収する話では、彼の過去回想を描いた事で金時計が彼にとっていかに大事かが解り、キャラが興味深くなりました。
また、「さよならの朝に約束の花を飾ろう」では主人公のバックストーリー自体は無かったものの、周りの環境や心情等で主人公の孤独感が伝わった事が物語を感動させる要素になりました。

ですが、この映画では2つともありませんでした。
主人公の脱出したい動機、性格等が全く描かれずにただTAUや監禁している男とのやり取りだけが殆ど占めていました。
主人公は結局どういう人だったの?となりました。

それによってストーリーが深そうに見えて薄かったり設定が重厚そうに見えてそうでなかったりと、どうでもいいと思ってしまいました。

恐らく、「エクス・マキナ」の様な世界観で「ルーム」の様な物語にしたかったんだと思います。
ですが、どちらの作品にもクオリティが負けていた気がします。

良い設定があるのに非常に勿体無い作品でした。

2018年 ワースト9位