アイドル時代にハットリくんや両津勘吉を明るく演じながらも目の奥が完全に死んでる不気味さがあった香取慎吾ですが、ここにいたり1番の当たり役が来た様に思います。
決定的な悪でもワルでもなく劇中で言っていた ろくでなしという形容がぴったりな郁男を香取慎吾が好演。
ちょっとボテの入った体型がリアルです。
人生でやるかやらないかで、やらないを選択してきた様な郁男の無気力な佇まいと香取くんがシンクロしています。
おそらく郁男は若い頃はシュッとした男前で特に何か覚悟を決めなくても何とかなった人生を歩んできたのでしょう。
白石和彌監督作にしてはバイオレンスも抑え目でタイトル通りに静かな作品です。
登場人物たちには次々に理不尽な出来事が起こり続けますが映画の雰囲気は意外とあったかくて白石監督の石巻の町や人々への優しさを感じます。
稲垣吾郎における「十三人の刺客」の様に香取慎吾のベストアクトではないでしょうか。
つい最近「NIN NIN 忍者ハットリくん」を観たので同じ俳優とは思えないです。