恐るべき作品。
五十嵐大介さんの原作も傑作だったが、渡辺歩監督とスタジオ4℃が5年の歳月をかけて作り出しただけのことはある。
中学生が夏休みに出会った子供たち。
そこから始まる、海、いのち、光、言葉、音楽、詩。
なんと芳醇で深くて、
思弁的で豊かな作品か。
描かれる描線の細かさや、画面の膨大な情報量に圧倒されながら、感覚として浸る快楽。
久石さんの音楽、米津玄師のエンディングそれぞれが絶妙で、大きな劇場だからこそ、得られる没入感もあり…そう、水の中に潜り、泳ぎ、流れる感覚を確かに感じられた。
2001年宇宙の旅や、高畑さんのかぐや姫の物語、そのぐらいの深みがじゅうぶんにある。
いまの日本でこれほどの作品が作れるというのは、救いだ。
変形の大判のパンフレットがまた素晴らしい。
たぶん、何度も見返すことになる。