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マチネの終わりにのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

マチネの終わりに(2019年製作の映画)
3.7
やはり映像の方がしっくりくる。原作はセレブ感が気になり感情移入できず、上流社会の記号的用語とブランドに、かつての「なんクリ」が思い起こされたが、映画では主役二人(天才ギタリスト・福山雅治と国際ジャーナリスト・石田ゆり子)はずいぶん身近な存在に感じられた。まるで脚本になるのを見越したような描き方だったので、映画は気に入ると思っていた。

しっとりとした大人の恋愛。
三回しか会っていないのに運命の人。
一目惚れが人生を変えた。

<大人の恋愛>とは、性急にことに至らず、感情を抑制し、相手を思いやり、相手の仕事や人間関係に配慮すること。自己中心的に思いのたけをぶつけない。敬愛があり、冷静と情熱の間でひとり身悶えすることでもある。

そういう意味では、キャスト二人ともクールで合っていた。

くさいセリフも福山さんが言うとお茶目にみえて、受け入れやすい。

「未来が過去を変える」が本作のキーワード。意識下にあるのは<自分を赦すこと>に思える。

ヨウコの父はバルカン半島出身の映画監督の設定。クストリッツァを意識しているみたい。

内戦、戦火、難民、新自由主義、テロ、PTSD、スランプ、嫉妬、盛り沢山。背景設定はドラマチックだけど、純愛でした。もの悲しいギターの奏でに癒されます。
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