千年女優

アルキメデスの大戦の千年女優のレビュー・感想・評価

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)
3.0
太平洋戦争前夜の日本にあって、世界が主戦場を空へと移していこうとする中で古い価値観から世界最大の巨大戦艦「大和」建造を目指す軍に反発を覚える数学者の櫂直少佐。日本の存亡をかけて建造推進派の平山忠道中将の不正を暴こうとする彼の奮闘を描いた、『ドラゴン桜』『砂の栄冠』の三田紀房作の漫画を原作にした山崎貴作品です。

冒頭で史実である大和敗北シーンが流れ、迫力あるVFXによる戦闘映像に惹きつけられます。その後の調査&会議パートは、櫂のキャラ造形が正攻法に限らず知略や人身掌握までを駆使する外連身に溢れた三田漫画の主人公のそれではなく、天才だが駆け引きには疎い、例えるなら青臭い「ガリレオ」という印象で些かキャラに弱さを感じる所です。

大和沈没のネタバレが済んでいる以上どうオチをつけるのかとヤキモキさせられるもどんでん返しのオチが待っており、果たしてあの天才がこれで組するかという疑問は残りますが、発想と構成はよく出来ていて、ここから駆け引きに長けた人物へ成長してやがて大和の沈没と敗戦に矢面で立ち会う事を想像して納得させられてしまう一作です。
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