Kumonohate

アルキメデスの大戦のKumonohateのレビュー・感想・評価

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)
3.8
華々しい活躍もしていないのに、時代遅れの産物で壮大な無駄遣いであると当時から指摘されていたのに、存在が一般に明らかになったのは戦後なのに、何故、人々は戦艦大和が好きなのだろう。

フォルムが格好いいから?特攻作戦で散った悲運の戦艦だから?宇宙戦艦となって復活したから?

色々理由はあろうが、やはり、大和が「世界最大」の戦艦であり、「世界最強」の46センチ砲を搭載しており、「世界一」の造船技術の粋を集めて作られているから、つまり、「世界最高」の技術力の結晶だったからだと思う。

そうした事実が戦後明らかになり、敗戦で沈んでいた日本人の心に「俺たちはこんなに凄かったんだ」と、誇りの火を灯したのだろうと思う(零戦もしかり)。

そして、日本は元気を取り戻す。

その結果誕生したのが、「世界最速」の新幹線、「世界最高性能」の自動車、「世界初」のウォークマン。日本の戦後復興は、多くの優秀な技術者によって成し遂げられた。

戦艦大和は、そんな技術大国ニッポンを象徴する存在だったのではないか。それどころか、敗戦後の日本人にとっての、「俺たちは必ず復活する!」という信念の依り代だったのではなかろうか。そして、そんな大和の技術面にフォーカスした(もっとフォーカスして欲しかったが)映画が、令和元年に派手派手しく公開されるということは、逆に、日本の技術力が次第に翳ってゆく現状の裏返しなかもしれない。

ちなみに、映画のテーマはそれとは違う。

内容的には、良さは菅田将暉と柄本佑と田中泯の演技力に寄るところが大きいが、開戦阻止に数学で挑むという設定に加えて、二転三転する展開(多少?な箇所もあるが、上記3名の演技でねじ伏せられる)も面白かった。
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