磯野マグロ

陽のあたる町の磯野マグロのレビュー・感想・評価

陽のあたる町(2017年製作の映画)
2.5
【大好きなのにめんどくさい】

絵はきれいに撮られているし、斜陽になった鉱山の街に住む人々の物語であることは、見てればわかる。しかし、かつてどれくらい栄えていたのかとか、どんな歴史があるのかなどはもちろん、そもそもどこの国にある、なんの鉱山なのかの説明すら、ろくにされない。
この不親切な物語には幾人かのキーになる登場人物がいるのだが、その人たちについての説明もほとんどない。いつまでも穴だらけの情報を、頭で補いながら見ることになるが、はっきりいってめんどくさい。カメラは、登場する人たちのものすごく近くにいたりして、それでもカメラをまったく意識することなくふるまっているのは、一体なんなのだろう。途中でドキュメンタリーじゃないのかも、と疑ってみたりしたが、やはりドキュメンタリーらしいし。
採掘の坑口を求めて、山の上にも下にも中腹にも街がある景色は、別子銅山に似ている。ぼろぼろのケーブルカーもステキだし、鉱山好きとしてはぶち上がる光景だ。
別子には日和佐初太郎といういいカメラマンがいて、人々の暮らしをたくさん写真として残してくれた。このチアトゥラという街を撮ったナショジオの写真がふつうにネット上にあるが、映画よりよっぽど街のことがよくわかるし、気に入った。
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