幕のリア

岬の兄妹の幕のリアのレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
3.2
もしも、スタンディング・チョークスリーパーがガッチリと決まったら。

後ろに倒され両脚での胴締めが入れば万事休す。

1.相手の後頭部に腕を回しそのまま前方に首投げの要領で投げ飛ばす。

2.両手で相手の頭頂部を抑えそのまま尻餅を付きチンクラッシャーのように相手の顎を砕きにかかる。

3.ターンバックルをサマーソルトで蹴り上げ技を解きにかかるか。

本作では門外不出の禁じ手がリアルに再現公開されており、最大の見所となっていた。

〜〜

いかにも昭和40年代な作風は特段目新しさは無いが、今様な軽薄さに鼻をつまむ必要はなく、心地良く狭い世界での逡巡に身を委ねることは出来る。
ただ、オフビート感と行間の無い造りが、直視に絶えないような辛苦に辿り着くことはない。

過酷な日常に比して、あまりに綺麗な足元は、どうにか地に足を付けて生きゆく二人の清廉を象徴してるのだろうか⁈
生死のギリギリを彷徨う姿としては、どうにも汚れは見えず悪臭も漂って来ないし、悪鬼のごとくイジメに興じる中学生の姿にドキリとさせられても、これ以上行き場のない岬の突端でどうしようもない兄妹の絶望は感じられないのだ。

よりエンタメ性の高いドラマが得手となる監督さんのように感じる。
次作も観たい。

2019劇場鑑賞30本目
幕のリア

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